ジョージア(旧グルジア)出身のピアニスト、マリアム・バタシヴィリ。2014年、オランダ、ユトレヒトで開催された"リスト国際ピアノコンクール"で優勝、以降「リストのスペシャリスト」として評価されています。今回のワーナークラシックスからのデビュー・アルバムは、彼女が得意とするリストと、リストが親友と呼んでいたショパンの作品を併せ、2人の巨匠の関係性を探るという1枚。
冒頭のリスト「詩的で宗教的な調べ」の第3番「孤独のなかの神の祝福」から、沈み込むような音色に魅了されます。この曲は静かな雰囲気を湛えていながらも、不思議な躍動感のある演奏は独特のもの。バタシヴィリの曲に対する愛情がひしひしと感じられます。良く知られた「乙女の願い」を含むショパンの素朴な歌曲をリストが華麗なピアノ曲へと編曲した「6つのポーランドの歌」は2人の巨匠を繋ぐ作品であり、ショパンとリスト、各々の性格がにじみ出でいます。とりわけいかにもリストらしい第5曲「わたしの愛しい人」での過剰ともいえるリストの思いをバタシヴィリは的確に描き出しています。瞑想的なリストの顔が垣間見える「コンソレーション」、ショパンとリストの練習曲を並べた後半部も聴きどころ。バタシヴィリはリストとショパンの違いを丹念に浮かび上がらせることに成功しています。(1/2)
ワーナーミュージック・ジャパン
発売・販売元 提供資料(2019/07/01)
《マリアム・バタシヴィリ》
1993年ジョージア(旧グルジア)のトビリシ生まれのマリアム・バタシヴィリは地元のE.ミケラーゼ中央音楽院にて学んだのち、グリゴリー・グルツマン教授のもとワイマール フランツ・リスト音楽大学にて学ぶ。
2011年ワイマールにて開催された、若いピアニストのためのリスト国際コンクールにて優勝、さらに2015年には栄誉あるアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ賞を受賞。またバタシヴィリはドイツ音楽生活財団賞からも奨学金を得ている。
2014年、ユトレヒトで開催された第10回フランツ・リスト国際コンクール優勝(並びにジュニア審査員賞、プレス賞受賞)を機に、初めて世界にその名を知らしめた。「優勝者のバタシヴィリは、全てのフレーズを特別なものに変えてしまう」という見出しとともにオランダのNRCハンデルスブラッド新聞社に紹介され、審査員たちは"完璧な演奏者"、"非常に素晴らしい音色"、"真摯な感情表現"と彼女を称している。
この成功に続いて、オランダ放響(ジェームス・ガフィガン指揮/リスト・ピアノ協奏曲第1番/コンセルトヘボウ)、ロッテルダム・フィル(ラファエル・パヤーレ指揮/チャイコフスキー・ピアノ協奏曲)、ブリュッセル・フィル(サン=サーンス ピアノ協奏曲第2番)などを含む世界有数のオーケストラと共演を次々果たす。マリアムはまた、中国(北京のNCPA、上海コンサートホール)、韓国、インドネシア、ブラジル、アメリカ合衆国、南アフリカ、フランス、スペイン、ノルウェー、バルト諸国、ベネルクス、ドイツなど30を超える国々でリサイタルを開催しているほか、ボンのベートーヴェン音楽祭、ボローニャのピアノフォルティッシモ音楽祭、デルフト室内音楽祭、国際的な音楽祭にも多々招かれている。
マリアムは2016-17年シーズン、ヨーロッパ・コンサートホール協会(ECHO)に注目のスターとしてノミネートされており、また今後フィルハーモニー・ド・パリ、ケルン、ルクセンブルク、ウィーンのムジークフェライン、ブリュッセルのパレ・デ・ボザール、ブダペスト芸術宮殿、バルセロナのラウディトリ、ストックホルム・コンサートホール、ロンドンのサウスバンク・センター、ハンブルクのエルプフィル・ハーモニー、そしてアムステルダムのコンセルトヘボウなどヨーロッパの重要なホールでの公演しているほか、ロンドンのウィグモア・ホールやサンクトペテルブルク・フィルハーモニーにてリサイタル・デビューを予定しており、キリル・カラビッツ指揮シュターツカペレ・ワイマール、ガホール・タカーチ=ナジ指揮のオーケストラ・ディジョン・ブルゴーニュと共演。また飯森範親 指揮のもとヴュルテンブルク・フィルハーモニー管弦楽団とミュンヘンのヘラクレスザールでチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番を共演した。2019年7月、上岡敏之(指揮)新日本フィルハーモニー交響楽団とも共演。(2/2)
ワーナーミュージック・ジャパン
発売・販売元 提供資料(2019/07/01)