チン・ベルナルデス(vo,g,p)、ギリェルミ・ヂ・アルメイダ(b)、途中加入のビエル・バジリ(drs)のトリオ編成によるオ・テルノ、現代のバンドらしくhtml言語のように表記された4作目『< Atras / Alem >』(後ろに/向こうに)では、メランコリックで叙情を醸し出すメロディーや管弦、ヴィブラフォンにグロッケンを効果的に配している。ドラマティックな展開に胸が詰まる"Tudo que eu nao fiz"や"Pegandoleve"に始まり、タイトル曲や先行シングルとして発表された"Nada / Tudo"など相反する二面性を詩作で描き出しつつ、先に国内盤7インチ・アナログで発売された"volta e meia"には坂本慎太郎とデヴェンドラ・バンハートが特別ゲストで参加。ドラム・メンバーのビエルに捧げた"Bielzinho / Bielzinho"では独特なサンバ・ホッキを展開、さらにトゥリッパ・ルイスやルイザ・リアン、マリア・ベラルドなどサンパウロの音楽シーンの友人たちがコーラスを務め、ロックのフォーメーションにMPBからのフィードバックを有効的に採り入れ、芸術的価値を高めている。ファルセットと肩肘張らず奏でられるピアノが際立った"Profundo / Superficial"や、ざっくばらんなeg弾き語りの間が器の大きさを感じさせる"Passado / Futuro"、まさにエンディングの寂寥感に満ちた"E no final"まで、ブラジルのロック・バンドが新しいフェーズに入ったことを感じさせるに十分な傑作。
発売・販売元 提供資料(2019/07/19)
カエターノ・ミーツ・ブライアン・ウィルソンと称されたブラジル新世代のシンガーソングライター、チン・ベルナンデス率いるサンパウロのロック・バンド、O Ternoの新作。本作収録の《Volta e meia》は、先行で7inchリリースされ、坂本慎太郎とデヴェンドラ・ヴァンハートがゲスト参加していたことで話題に。オーケストラ風のアレンジでダイナミックに展開する楽曲や、シンプルなリズムにメランコリックなメロディを聴かせる楽曲など、色彩豊かで壮大なスケールを感じさせる作品。ちょっとした仕掛けが施されたパッケージの遊び心も素晴らしい。
intoxicate (C)栗原隆行
タワーレコード(vol.149(2020年12月10日発行号)掲載)