Mitski、Frankie Cosmos、Hatchieなども輩出してきた、Double Double Whammyから作品をリリースしている、ブルックリンのローファイ・フォーク/ポップ・バンド、Floristのフロントマン、でヴォーカル、ギター、シンセサイザーなどをマルチに担当するEmily Sprague。2017年から2018年にかけて彼女がバンド活動の合間を縫って録音し、自主リリースしていたアンビエント作品2作『Water Memory』『Mount Vision』が、彼女の才能に着目したNYの最先鋭レーベルRVNGよりリマスター、ボーナス・トラックを追加してフィジカル化。
エミリーのサウンドは全ての繋がりに関係しており、地上の活動に人との触れ合いを導く神秘的な力に生き生きとした中心的形を与えている。
音と詩を通して、エミリーは水晶の透明性の束の間の瞬間に焦点を合わせ、複雑な意味作りのために拡張された人生について瞑想する。このビジョンは間違いなく美しく、やさしく、そして深い。この2つの作品は海と山というタイトルからも分かるように対をなす鏡のような構造を持ち、書かれた詩によって補完される2つの章として機能している。
『Water Memory』はエミリーによる初めてのロングフォームのインストゥルメンタル・アンビエント・ミュージックで、マサチューセッツとニューヨークの間でユーロラック・モジュラー・シンセサイザー(Monome、Mannequins、Mutable Instruments、ALM Bust Circuits、4ms、Xaoc、Verbos Electronics)、Teenage Engineering OP1、およびValhalla VST Reverbを使用し、1年間の自己と音の探求によって生まれた。
古代の格言集のように展開する。時々遊び心があり、幻想的でさえあるが、常にきらびやかでリアルだ。タイトルのように、意味は水性であり - 決して固すぎず、あくまで実態がある。
対照的に、『Mount Vision』はカリフォルニア北部でもっと短い期間で録音された。シンセサイザーを駆使し、ディープに配された拡張トーンのコンポジションが天空へと漂っていくようなサウンド。ニューエイジ調のシンセ・ドローン、センシティティヴなピアノ、ミニマル・アンビエントが3編に渡って構成されている。
この惑星におけるエミリーの使命は、人間の最も深い知識と知的な性質との間の接続を容易にする、または明るくすることであろう。そして、『Water Memory』、『Mount Vision」は、この共有経路に沿った最も確かに記念碑的作品である。
今回のリリースにあたりリマスターはTaylor Deupreeが担当。日本盤には追加ボーナス・トラックに加え、エミリーがそれぞれの作品に書いたポエムをAnthony NaplesによるレーベルInciensoからも作品をリリースしているNY在住の日本人アーティスト/ライター、工藤キキが日本語で朗読したタイトル・トラックの日本語バージョンも収録。
発売・販売元 提供資料(2019/06/07)
大注目の女流アンビエント・アーティスト、Emily A. Spragueが自主カセット・リリースし、即完したアンビエント作品2作がリマスター&ボーナス・トラック追加してリリース!シンセサイザーを駆使してアンビエント~ニューエイジを横断する夢幻/無限の桃源郷サウンドスケイプ! (C)RS
JMD(2019/05/23)
ブルックリンで活動するバンド、フローリスト。フロントを務めるエミリー・スプレイグはモジュラー・シンセのコレクターであり、現在は西海岸に拠点を移し,バンド活動の合間にそのモジュラーを駆使したソロ作品を制作し発表してきた。本作は2017年と2018年にそれぞれカセット&配信で限定リリースされた対になる作品を一つにまとめRVNGから再発されたもの。丁寧にレイヤードされていくシンセ音に包まれると、成程水の中にいて、その壮大な記憶を遡っているよう、看板に偽りなし。過剰に盛り上がることもなければ決して冷たくもなく、平熱の夢見心地が延々と続く、というか続いて欲しい。
intoxicate (C)片切真吾
タワーレコード(vol.140(2019年6月10日発行号)掲載)