ネオ・クラシックからジャズ、アヴァンギャルドまで、ジャンルの境界線を流麗に行き来するドイツ出身の作曲家/ピアニスト/プロデューサー、Martin Kohlstedt。これまで、2012年の『TAG』そして2014年の『NACHT』と2作のソロ・ピアノ作を発表し、2017年にはエレクトロな要素を取り入れた『STROM』をリリースしてきた彼が、ワーナークラシックス移籍第1弾作品となるニュー・アルバム『STROME』をリリース。その最新作『STROME』は、そのMartinが70人からなるライプツィヒ・ゲヴァントハウス合唱団とコラボレートした、生き生きとしたライヴ感溢れる作品である。この作品の中でMartinのピアノは合唱団と共振し、合唱団の音楽監督であるGregor Meyerは、歌手間の感情的衝動を引出し、彼らの身体の中に間接的に動きを作り出している。またライプツィヒ・ゲヴァントハウス合唱団も、伝統的な方法ではなく、新しく、革新的な音楽メソッドを身に着けていったのであった。それぞれ異なるバックグラウンドを持つMartinと合唱団が本作を制作するにあたって、双方ともかなりの忍耐と、緊張感をもって挑み、その結果、静かな感動を呼び覚ますような作品が生まれた。聴くものを惹きつける旋律を得意とするMartinだが、本作では共演したパフォーマー、そして聴くものの双方を、集まったり、また散らばったりすることから生まれる、緊密な対話や社会的な温かさへ誘うのだ。ジャンルの境界を越えた流麗な音楽スタイルを持つ、Martin Kohlstedtと確固としたクラシックの伝統をバックグラウンドに持つライプツィヒ・ゲヴァントハウス合唱団。それぞれが互いの限界を押し広げ、インストゥルメンタルな要素とヴォーカルを混ぜあわせて組み合わせ、融合させては、互いを高め、新たなサウンドスケープを創り出す――それこそが楽器と人類の新たな可能性をも感じさせるアルバム『STROME』なのだ。
発売・販売元 提供資料(2019/04/12)
ドイツのピアニストで作曲家のマーティン・コールステッド。新作『STROME』は、150年以上の歴史を誇る合唱団〈ライプツィヒ・ゲヴァントハウス合唱団〉とコラボレーション。コーラスとピアノ、そしてエレクトロニクスが共鳴し合い、美しく神秘的な音楽を創り上げている。音が重なっては離れてゆくような波動が心地よい。《TARLEH》はグレゴリオ聖歌のようなコーラスが、幻想的なアンビエント・サウンドと絶妙に融合。全編を通して、ゲヴァントハウス合唱団も伝統とモダンな歌唱法を歌い分け、作品のスケールを大きく魅力的なものにしている。
intoxicate (C)上村友美絵
タワーレコード(vol.140(2019年6月10日発行号)掲載)