R&B/ソウル界のレジェンド、メイヴィス・ステイプルズ。2019年、通算12作目となる最新作で彼女がタッグを組むのは、カリフォルニアが生んだ天才的シンガー・ソングライター、ベン・ハーパーだ。最新作『WE GET BY』で、全曲のソングライティングとプロデュースを手掛ける彼は、メイヴィス2016年のアルバム『LIVIN' ON A HIGH NOTE』に収録されている「Love And Trust」でコラボレーションした経験を持っている。その「Love And Trust」をメイヴィスの為に作ったベンは、メイヴィスをプロデュースさせてほしいと本人に告げたことがあるそうだが、その時彼女は「もしあのような曲をまた作れるのなら、期待してくれてもいいわよ」と答えたそう。そして彼は、1曲のみならず、アルバム1枚分の心が躍るような、そして魂が高揚するような曲を持ってきた。それらの楽曲は、メイヴィスの心にダイレクトに響き、彼女はその初期デモ音源が持つ率直さと美しさに惚れ込んだという。レコーディングは、ベンの指揮のもと、ハリウッドのHenson Studioで行われた。メイヴィスのバックを務めるのは彼女のツアー・バンド。レコーディングすることが決まってから、彼女のショウを何度か観客として観たベンは、ステージこそが彼女の家、そしてツアー・バンドが彼女の家族だと認識するようになった。そして、そのスピリットを可能な限り、アルバムに反映させることが、最適な音楽的アプローチだと考えるようになったという。アルバムのサウンドに対して確固たるヴィジョンを持ちながらも、彼は、敢えてデモ音源を骨組みのままにして、メイヴィスと彼女のバンドが自由に解釈し、彼女ならではの方向性へと曲を導いていく余裕を残した。『WE GET BY』でのベン・ハーパーの意志の強い、表現力豊かなソングライティングと、思索深いプロダクションは、政治的・社会的分断が深刻に語られる時代に、愛と希望、そして歴史の重みを高らかに歌い、訴えかけるメイヴィスの今の姿を見事に捉えている。「ここに収録されている曲は、とても強いメッセージを持っている」アルバムの収録曲について、メイヴィスはそう語り、その一つの例としてアルバムの幕開けを飾る「Change」を挙げる。「もしこの世の中を良くしたいと思うのなら、本当に変わらなくちゃいけないのよ」。「Change」の他にも、未来を恐れずに見据えるファンキーなナンバー「Anytime」や、不平等に立ち向かい、行動を起こすように呼びかける「Brothers And Sisters」、そして力強く愛こそが最強のパワーだと確信させる「Stronger」や希望と新鮮を歌い上げるソウルフルな「One More Change To Make」など、60年代から愛と信頼についてのメッセージを届け続けている彼女のパワフルな姿勢が伝わってくる楽曲が多数本作にはフィーチャーされている。またアルバムの楽曲だけでなく、アートワークに使われている写真にも注目だ。この写真は、人種差別のアメリカを捉えた『LIFE』誌のシリーズ"THE RESTRAINTS: OPEN AND HIDDEN"の一枚である。「私が歌うのは、人々に良いフィーリングを残したいから」そうメイヴィスは結論づける「私は人々の心にポジティブなメッセージを残したいし、前よりも強くなったと感じて欲しい。私もまた、同じ理由で歌い続けているのだから」
発売・販売元 提供資料(2019/04/05)