グラミー受賞歴を誇るマルチ・ロック・バンド=ヴァンパイア・ウィークエンド6年振り通算4作目となるニュー・アルバム『Father of the Bride』
2006年のデビュー以来これまでに3枚のアルバムをリリースし、2作目と3作目でインディーズ・バンド史上初となる2作連続全米チャート初登場1位を記録した、グラミー受賞歴も誇るマルチ・ロック・バンド=ヴァンパイア・ウィークエンドが、6年振り通算4作目となるニュー・アルバム『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』をリリース。また、今年1月に発表した6年振りの新曲「ハーモニー・ホール」「2021」に続く新曲「サンフラワー feat.スティーヴ・レイシー」「ビッグ・ブルー」の2曲が新たに配信された。新たにリリースされた2曲は、「ハーモニー・ホール」「2021」同様、フロントマン=エズラ・クーニグと、長年のコラボレーターであるアリエル・レヒトシェイドがプロデュース。「サンフラワー」は、先日の単独来日公演も大盛況だったメロウ・ソウル・バンド<ジ・インターネット>のギタリスト=スティーヴ・レイシーが参加しており、ヴォーカルとベースラインのユニゾン・メロディーが印象的な、彼ららしい軽快なリズムが際立つ楽曲となっている。一方で「ビッグ・ブルー」は、アコースティック・サウンドをベースとした2分弱のメロウな楽曲となっており、エズラ、アリエルに加え、ケンドリック・ラマーやドレイクを手掛けるヒップホップ・プロデューサー=DJダヒがプロデュースを担当している。2014年にサード・アルバム『モダン・ヴァンパイアズ・オブ・ザ・シティ』のツアーを終えてから長らく沈黙を守っていたヴァンパイア・ウィークエンド。昨年FUJI ROCK FESTIVALのグリーン・ステージに出演し、いよいよ新作リリース間近かとファンの期待値が高まっていた矢先での待望の新作リリースとなる。1月に先行リリースした「ハーモニー・ホール」は、これまでのヴァンパイア・ウィークエンドの世界観を踏襲した、幸福感溢れる爽やかな楽曲。俳優のジョナ・ヒルや、3姉妹バンド<ハイム>のメンバー=ダニエル・ハイムなどがカメオ出演しているミュージック・ビデオも話題となった。また、同時にリリースされた「2021」は、細野晴臣が1980年代に制作した楽曲「Talking」のサンプリングを使用していることでも国内外で注目を集めた。
発売・販売元 提供資料(2019/03/22)
USロック・シーンを代表するバンドのニュー・アルバム。ロスタム・バトマングリの脱退という変化はあったが、持ち前のアフロ・ポップを基調とする多彩な音楽性は健在だ。ダンサブルな"Sympathy"ではフラメンコを採り入れ、"My Mistake"はスクリューの匂いを漂わせたりと、カラフルな音色でリスナーを楽しませてくれる。ドナルド・トランプ以降のアメリカに対する怒りも窺える"Harmony Hall"といった、プロテスト色の濃い曲も際立つ。そこに込められた政治的/社会的要素は個人の視点から紡がれているため、親しみやすい。そうした視点でありながらジャケットに地球を用いる素朴さは、良くも悪くも〈世界の警察〉を演じてきたアメリカのバンドであることを滲ませる。
bounce (C)近藤真弥
タワーレコード(vol.427(2019年5月25日発行号)掲載)