『ミュージック・フォー・ミュージアム・ギフトショップス』は、名古屋在住のバンド Lullatoneの、20年に及ぶ冒険心あふれる活動から生み出されたメロディーをピアノだけで回想しています。52曲のメロディーたちは繊細でシンプルに演奏され、美しい輝きを放ちます。あたたかく親密、居心地のいい空間で作られた録音が、過去リリースされたアルバムのイノセントさを彩ります。
これはすっかり大人になったLullatone - ふたりの子どもたちと家で過ごしたり、宿題を手伝ったりしながら、かっこよすぎない普段着のクラシック音楽のようなメロディーが出来上がりました。手作りクラシックと言いましょうか。 機嫌の良いエリック・サティ、より繊細なGoldmundやHauschka、こもれびの中で撮ったウェス・アンダーソンの映画のサウンドトラックのような、そんな感じのアルバムです。
最近のLullatoneは映画のサウンドトラックを作ったり、Googleやフォルクスワーゲン等々多くの企業のテレビコマーシャルの音楽を作っています。このアルバムは、そういった活動とはまた違い、もっとパーソナルなサウンドトラックを作ろうと試みたプロジェクトです。自転車で図書館に行ったり、週末に朝ごはんをゆっくり作ったり、外国語を勉強したり、美術館のギフトショップで本を物色したり、そんな普段の小さなできごとのために作ったアルバムです。
発売・販売元 提供資料(2019/03/04)
ゼロ年代前後、彼らの音楽は非常に柔らかい音像ながら、鮮烈なものとしてエレクトロニカリスナーを驚かせた。それから月日が流れ、今の耳では普遍的な音楽として聴こえてくる。今回の作品は20年に及ぶ活動から生み出されたメロディをピアノで回想したというもの。52曲のメロディの数々がそっと寄り添う様に奏でられていく。サティの様な悪戯心や、Goldmundの様なアンビエンスを感じるが、旋律にフォーカスして聴いてみて、改めて自由な発想で紡いでいたのが非常に心地よく感じる。いつ再生してもほのかな優しさを感じさせてくれる1枚。
intoxicate (C)池田敏弘
タワーレコード(vol.139(2019年4月10日発行号)掲載)