響きの広がりが胸を打つ!
ホルンのオリジナル作品をひたむきに探究
木川博史(Hiroshi Kigawa)は、東京音楽大学卒業後、ベルリン芸術大学に学び、第20回日本管打楽器コンクールホルン部門1位及び大賞受賞、第39回マルクノイキルヒェン国際コンクールにおいてディプロマを受賞。日本センチュリー交響楽団を経て、2015年9月よりNHK交響楽団の団員として活躍する、新進気鋭のホルン奏者である。
このCDには、ホルンのオリジナル作品をひたむきに探究してきた成果が集約されている。
1曲目の「3つの小品」を作曲したクロル(Bernhard Krol)は、シュターツカペレ・ベルリンやシュトゥットガルト放送交響楽団のホルン奏者として活躍し、作曲家としては教会音楽から霊感を受けた室内楽曲や協奏曲などを書いている。中でもグレゴリオ聖歌の調べに基づく無伴奏曲「ラウダーツィオ」(1960年代半ばの作品)がホルン奏者の間では知られているが、この作品はおそらく初CD化となる秘曲でり、木川の音楽に正面から真摯に向きあう姿勢にまさにピッタリの曲である。
シューマン(Robert Schumann)のアダージョとアレグロはチェリストや、ヴァイオリニストも取り上げるが、オリジナルはホルンとピアノだ。シューマンのこの作品はホルンにとって技術的にも難しいが、とりわけ音楽的な静寂をピアノと一緒に表現している点が特筆される。ウィーンに生れ、フランツ・シュミットらに学んだピルス(Karl Pilss)は、長らくウィーン国立歌劇場の合唱副監督やコレペティトア(ヴォーカル・コーチ)として活躍。作曲家のほか画家としての顔ももっていた。1969年にウィーンのドブリンガーから楽譜が刊行された「ソナタの形式による3つの小品」は、師シュミット譲りに構えの大きな交響的ソナタとも言うべき作品で、近年、木川のほか、オーストリア、オランダのトップアーティストが好んで演奏している。ピアニストの松岡美絵とは日本管打楽器コンクール以来共演を重ねている。
この人ほど、音楽のあり方を探求・探究する演奏家は、そうはいない。
言葉の真の意味での職人性と求心的な音楽観をあわせもつ。
奥田佳道(ライナー・ノーツより)
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ユニバーサル・ミュージック/IMS
発売・販売元 提供資料(2019/01/29)
<木川博史>
第20回日本管打楽器コンクール ホルン部門1位及び審査員特別賞、文部科学大臣奨励賞、東京都知事賞を受賞。第39回マルクノイキルヒェン国際コンクールにおいてディプロマを受賞。大学在学中よりソリストとして東京交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、日本センチュリー交響楽団、兵庫県立芸術文化センター管弦楽団等と共演する。これまでに、サイトウ・キネン・フェスティバル、小澤征爾音楽塾、PMF、草津国際音楽アカデミー&フェスティバル等に参加、東京音楽大学付属高等学校、同大学を卒業。水野信行、冨成裕一、岡本充代の各氏に師事。卒業後、ベルリン芸術大学にてC.F.ダルマン氏に師事。2013年大阪市より「咲くやこの花賞を受賞。BRASSCODE12、いずみシンフォニエッタ大阪のメンバー。日本センチュリー交響楽団を経て、2015年9月よりNHK交響楽団団員。
<松岡美絵>
多くの機会「室内楽ピアニスト」と称される。サイトウ・キネン・オーケストラのメンバー、バンベルク交響楽団首席奏者など、日本のみならず世界のトップアーティストたちとの共演を重ねてきた。1990年PTNAピアノコンペティションにおいて、デュオ上級全国大会1位および最優秀賞を獲得、1995年にはソロ特級ファイナリスト、入選を果たしている。2001年国際交流基金の招待によりローマ、カイロ、ブリュッセルなどを演奏旅行、2009年にはインド、マレーシア、バンコクで演奏。各地で大好評を博した。東京や福岡等にてリサイタル、九州交響楽団との共演など、室内楽をはじめソロリサイタル、協奏曲と活動の場を広げている。梅光女学院高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部卒業。卒業後、同大学の嘱託演奏員を務める。ドイツ、マルクノイキルへン国際コンクール伴奏者特別賞受賞。マリア・ジョアン・ピリスのマスタークラスを度々受講。これまでに宝木多加志、二宮裕子、フセイン・セルメットの各氏に師事。
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ユニバーサル・ミュージック/IMS
発売・販売元 提供資料(2019/01/29)