イスラエル/フランス人ピアニスト、ジョナサン・アヴィシャイはトランぺッター、アヴィシャイ・コーエンの作品『Into The Silence』『Cross My Palm With Silver』などに参加し大きな貢献を果たしてきているが、並行してこの5年間自身のプロジェクトを進めていた。今回はそのトリオ初の作品!パリを拠点にするイスラエル人ベーシスト、ジョニ・ゼルニク、ギニア/ギリシャ系フランス人ドラマー、ドナルド・コントマヌーを従えたトリオで"Modern Times Trio"と呼び名でも知られる。オープニングはデューク・エリントンの"Mood Indigo"。アヴィシャイ曰く、「エリントンは今でもモダン・ピアニストでありモダンなコンポーザー」,そのほかはオリジナルが続くが、アヴィシャイは幅広い音楽、自身の様々な体験に言及し、 "Les pianos de Brazzaville"ではコンゴ共和国への旅を思い出す。 "Tango"では Dino SaluzziとAnja Lechneの『Ojos Negros』へのリスポンス、さらに"When Things Fall Apart" ではソウルメイトのアヴィシャイ・コーエンからインスパイアを受ける。伝統に趣を置いたピアノ・プレイながら今の時代ならではのオリジナル、そしてブルースやスウィングなど、表現の幅広さが圧巻。
発売・販売元 提供資料(2018/12/17)
ジョン・ルイスやデューク・エリントン、アーマッド・ジャマルといったアーティストから影響を受け、伝統への深いリスペクトの中にジューイッシュとしてのアイデンティティを表現するピアニスト。トランペッターのアヴィシャイ・コーエンやオメル・アヴィタルら、所謂イスラエルの第一世代たちと活動を共にし評価を高めて来た彼のECM初リーダー作は、エリントンのナンバーから始まる。自身が最も信頼を置く〈MODERN TIMES TRIO〉による演奏は、決して派手さはないが少ない音数の中にも表現の幅広さが感じられ、一つ一つのフレーズや丁寧なタッチがとても心地よく響く。
intoxicate (C)栗原隆行
タワーレコード(vol.138(2019年2月10日発行号)掲載)