エドガー・モローは、1994年パリ生まれ。4歳でチェロを、6歳でピアノを始める。パリ国立高等音楽院でフィリップ・ミュレールに、ドイツのクロンベルク・アカデミーでフランス・ヘルメルソンに師事。2011年国際チャイコフスキー・コンクール第2位、14年ヤング・コンサート・アーティスツ国際オーディション第1位ほか受賞多数。これまでに数多くの一流指揮者、オーケストラ、室内楽奏者と共演を重ね、世界各地の音楽祭に招かれています。すでにエラートから3枚のソロ・アルバムを発売しており、どれもが高い評価を得ており、ヨーロッパではベストセラーとなっています。この4枚目のソロ・アルバムは、オッフェンバックとグルダのチェロ協奏曲という、130年の作曲年ブランクのある意欲的なプログラム。
2019年に生誕200年を迎えるオッフェンバックは、「天国と地獄」「ホフマン物語」などオペレッタやオペラで有名ですが、オッフェンバックは子供の時から父の手ほどきでチェロを学びパリ音楽院に入学。卒業後はオーケストラのチェロ奏者となり、上流社会のサロンでは「チェロのリスト」とよばれるくらいの名手で、現在ではほとんど演奏されることはありませんが、数多くのチェロ作品を作曲しています。このチェロ協奏曲はオッフェンバック30歳前の作品で、叙情的なロマンチック、そして上品さが感じられる幻想的な作品で、その後のオペラ、オペレッタに通じるものです。
そしてフリードリヒ・グルダのチェロ協奏曲は、ハインリヒ・シフのために書かれた曲で、独奏チェロとブラスバンド、ドラムセットやギターが加わった楽器編成の作品。コンテンポラリーとジャズ、民族音楽までがミックスされた破天荒なもの。
指揮者には、チェリスト、ピアニスト、ジャズ・ピアニスト、指揮者、作曲、アレンジャーとして評価の高いラファエル・メルランが起用され、2つのチェロ協奏曲の素晴らしさが発揮された演奏です。
ワーナーミュージック・ジャパン
発売・販売元 提供資料(2018/12/11)
オッフェンバックのチェロ協奏曲を、彼の生誕200年のアニヴァーサリーに合わせてリリースするなんて、やっぱりモローは素敵だ。もともとオッフェンバックはチェロの(フランツ・)リストと呼ばれるほどの名手であったため、実はチェロのための名品が多い。「軍隊風」と呼ばれるこの協奏曲は、後に喜歌劇の世界で活かされることになる喜遊的な楽想と美しいメロディ、溌剌とした管弦楽が、チェロの高度な技巧と組み合わされており、明るい音色と抜群のテクニックを持つモローが弾くにはうってつけの作品と言える。万華鏡のごとく曲想が変化する併録のグルダと合わせ、楽しめること間違いなしの一枚。
intoxicate (C)桐島友
タワーレコード(vol.138(2019年2月10日発行号)掲載)