DJで講演で大活躍の俚謡山脈が監修する《民謡シリーズ》第四弾は東京の芸能「おしゃらく」のレジェンド録音。明治生まれの芸達者達が魅せるこの良い声、良い唄を浴びれば貴方は自然と言ってしまうだろう「ジジイババアの芸は最高だな!
東京にも民謡ってあるの?と問われたら答えたい「東京こそ唄の宝庫だ!」と。東京五輪によって急速に失われた「古き良き東京」をはっぴいえんど(松本隆)は「風街」という架空の街に見立てたが、「風街」とは別の東京、農民漁民や船頭が生きていた東京がつい数十年前まで存在していたことを、一体どれほどの人が知っているだろうか?毎月念仏講が催され、農作業や土木作業で唄う作業唄があり、晴れの場では祝い唄を全員で唄い、夏が来れば盆踊りで死者の霊を慰めた。
今回我々が紹介するのは、東京の江戸川区および隣接する千葉の浦安に残されていた「おしゃらく」という芸能だ。おしゃらくは念仏講で歌い踊られていた踊り念仏を起源とし、そこに遊芸人である瞽女や飴屋の唄、江戸のはやり唄などを取り込みつつ高度に発展を遂げた「民謡と民俗芸能のハイブリッド」とでも言うべきものだ。この芸能は茨城から千葉、埼玉、神奈川まで分布しており、「万作踊り」「小念仏」の名称でも知られているが、おしゃらくはその中で最も複雑かつ洗練された芸能と言える。達者な三味線、モーラムにも引けを取らない節回しを聴かせる唄、踊り手を鼓舞するように快調なビートを刻む鉦と太鼓。民謡には「素人の良さ」があるのは確かだが、ここに登場する人々は「芸達者中の芸達者」だ。ファンキーとかドープとかいう言葉ではとても表しきれない、目くるめく「良い声」「良い唄」の大洪水に酔いしれて欲しい。
本作収録音源は、現在も葛西おしゃらく保存会の会長を務める藤本秀康氏が昭和40~50年代に自ら録音した膨大な量の所蔵テープを、菅井健(SUGAI KEN)が労をいとわずデジタル変換し、そこから俚謡山脈が藤本氏と共にセレクトした。アレマイユ・エシェテのような歌手が日本にもいたらな~と夢想したことがある人に教えたい。小川金蔵、高橋八五郎、藤代伝八、等々、全員素人だがプロ以上の声を持った達人たちが東京と千葉にいたのです!と。
発売・販売元 提供資料(2019/01/10)