1928年にサウス・キャロライナ州で生まれ、40年代から数多くのビッグ・バンドで歌ってきたエタ・ジョーンズは、独立してしばらく経った1960年にPrestige へ録音した『Don't Go To Strangers』(フランク・ウェスやリチャード・ワイアンズなどが参加)で大きな注目を浴びました。その後は63 年までPrestige にオリヴァー・ネルソンからラリー・ヤング、ケニー・バレルなどを従えた秀作を録音していますが、65年にRoulette へ『Etta Jones Sings』を残した後はしばらくレコーディングから遠ざかってしまいました。
シダー・ウォルトンのライヴ盤『Three Sundays In The Seventies:"Live" At The Left Bank』(Label M Records)に1972年の彼女の歌が2曲収録され、久しぶりにその力強い歌声を楽しめましたが、翌73年にヒューストン・パーソンやジーン・アモンズと共演した録音がきっかけとなって本格的なカムバックへと進み、76 年からMuse に次々と傑作を残していきました。今回発掘されたのは、1972年2月27日にボルティモアのクラブでのライヴ・レコーディング。つまりは上に記したシダー・ウォルトン・トリオとのセッションで、Roulette 盤以来久方ぶりの歌声をきくことができるわけですが、収録されている10曲のうち「Don't Go To Strangers」と「Blow Top Blues」はLabel M Records 盤で聴けたパフォーマンス。残る8 曲が初めて聴く演奏ということになりますが、冒頭の「Theme from "Love Story"」はシダー・ウォルトン・トリオだけの演奏で、エタは参加していません。サム・ジョーンズ、ビリー・ヒギンズを従えたシダーのトリオは、他にも名録音をたくさん残していますが、ここでもこのトリオならではのスウィンギーなプレイで聴衆を沸かせています。文句のつけようのない名トリオのバッキングを得たエタも、軽やかにスウィングし、バラードをしっとりと歌っています。
発売・販売元 提供資料(2018/10/10)