ブルーノートの大型新人ピアニストJames Franciesのデビュー・アルバム。ヒューストン生まれ、NYベースのピアニスト/キーボーディスト/コンポーザーでニューヨーク・タイムズ紙曰く「タッチに液体のようなダイナミズムのあるピアニスト」。アルバムからのリード・トラック "Dreaming" はヴォーカリスト Chris Turner を迎えていた曲。若くして成功の約束されたミュージシャンは稀だが、Franciesは今現在その途中段階を楽しんでいるよう。23歳でPat Metheny, Chris Potter, Jeff "Tain" Watts, Stefon Harris, Eric Harland, Terrace Martinなどのヘッドライナー級の大物ミュージシャンらと共演、さらにヒップホップ/R&Bの世界でもMs. Lauryn Hill, Jose James, Common, Nasなどとライヴで共演、 Chance the Rapperのグラミー作品 "No Problem" にも参加、さらに全米大人気TV番組『The Tonight Show Starring Jimmy Fallon』にてThe Rootsや友人のQuestloveとも共演。
そんな経験を生かし、本作ブルーノート・デビュー作『Flight』,がジャズとポップの混ざった11曲を展開。ブルーノートの先輩方Robert Glasper, Jason Moran, Chris Dave Kendrick Scott同様 Houstonの高校High School for the Performing and Visual Arts (HSPVA)出身。「先輩たちの足跡をたどるだけ。ハービー・ハンコックやバド・パウエルなど先輩方と同じレーベルなのはとても名誉。だけど同時に責任感もハンパない。」とFrancies。プロデュースは Derrick Hodge,フィーチャーされているのはサックス奏者 Chris Potter, ギタリスト Mike Moreno, ヴィブラフォニスト Joel Ross, ベーシスト Burniss Travis II, ドラマー Jeremy Dutton とMike Mitchell, そしてユニークでパワフルなシンガー YEBBA, Chris Turner, Kate Kelsey-Sugg 。
発売・販売元 提供資料(2018/10/09)
マーカス・ストリックランド作品やニーナ・シモンのトリビュートなどに参加他、既に多方面でビッグネームと共演を重ねるブルーノート発の大型新人デビュー作。グラスパーの弟分的に認識していたがこの初作はコンテンポラリーなジャズを核にしっかりと演奏していて、ケンドリック・スコットの新作にも通じるところあり、デリック・ホッジプロデュースや、マイク・モレーノ(g)の参加がそう思わせるのかも。もちろんグラスパー以降の実験精神はしっかり備えつつ、まずはジャズマンとしての矜持を表しているよう。瑞々しく美しい鍵盤裁きは堂々たるもので既にベテランの風格、早くも次作が楽しみだ。
intoxicate (C)片切真吾
タワーレコード(vol.137(2018年12月10日発行号)掲載)