まるで夏の日の出を創造させるかのような壮大でトライバルなリズムと透明で爽やかなハーモニーが魅力的な先行シングル「夏の光」から幕開け。風変わりでエレクトロなキリンジ風の温泉ソング、メロディアスで疾走感あふれる堀込泰行節全開のフォークロック、クワイエットでトロピカルなサウンドに乗せてしっとりと雨の情景をBGMに想いを寄せる歌、月面探査機『セレーネ』をモチーフに綴ったスペーシーなラブソング、キリンジらしい視点がすばらしい特許申請中の台風ソング、「エイリアンズ」「ドリフター」に続けとばかりにセンチメンタルでファンタスティックに綴ったバラード、キリンジ新基軸、あたらしい扉を開いてしまったニューウェーブなダンスナンバー、ジャマイカ経由アンデス行き、フォルクローレなレゲエチューン、これぞキリンジ、と言わんばかりのメロディアスでクールな8ビート、まるでアルバムタイトルを彷彿させるかのような幻想的で神秘的な歌、そして、乾いた冬の空にこだまする普通の風景、家族の情景。配信限定シングル「セレーネのセレナーデ」「小さなおとなたち」などを含む全12曲を収録。 (C)RS
JMD(2018/08/28)
爽快に走るトライバルなリズムと開放的なハーモニーが胸いっぱいの昂揚感をもたらす“夏の光”がまず素晴らしすぎるのだけど、同曲を冒頭に据えた約2年半ぶりの新作は、ニューウェイヴもレゲエもエレクトロニカも呑み込み、彼らの代名詞である<シティー感>を別次元へと昇華した美しいポップ・アルバム。涼風のようなメロディーはもちろん、オケの一音一音を繊細に響かせたサウンド・プロダクションはもう洗練の極み。
bounce (C)土田真弓
タワーレコード(vol.324(2010年8月25日発行号)掲載)