ポール自身が描いた絵とタイトルを共にする『エジプト・ステーション』は、2013年にリリースされ世界のチャートを制覇したアルバム『NEW』以来、古巣とも言えるキャピトル・レコーズへの移籍後第1弾となるよるフル・アルバム。アルバムに先立ち先行された両A面シングル「アイ・ドント・ノウ」「カム・オン・トゥ・ミー」。「アイ・ドント・ノウ」は美しいピアノのイントロで始まるポールにしか作れないであろう、哀愁のドラマティックなミディアム/バラード・チューン、「カム・オン・トゥ・ミー」は、ライヴで絶対に盛り上がるであろう、胸の高鳴るキャッチーなロック・チューン。いずれもザ・ビートルズ、ウイングスを彷彿させるポールらしさに現代的なサウンドがバランス良くミックスされており、アルバムの完成度の高さを予感させる。 (C)RS
JMD(2018/06/26)
リヴァプールでシークレット・ライヴをやったりと相変わらず元気なサー・ポールの5年ぶりとなる新作は、アデルやベック仕事で知られるプロデューサーのグレッグ・カースティンと組み、非常にポールらしい一枚に仕上がった。"I Don't Know"や"Hand In Hand"のような誰にでもわかる美しいメロディー、ビートルズ・ファンの心をくすぐる小技や挑戦的な音使いなど、難しいことをいとも簡単にやる彼ならではの才がどの曲にも溢れ、架空の旅を想定したというこのアルバムは心地良いことこのうえない。耳通りは極めてマイルドで穏やかだが、ソングライティングから演奏、楽器の選択まで随所にポール流の遊びも詰まった傑作だ。
bounce (C)大鷹俊一
タワーレコード(vol.418(2018年8月25日発行号)掲載)