デンマークのオルガニスト、フィン・ヴィーザウー(1906-1987)は、シェラン島、ネストヴェズのフーレビェア生まれ。ソールーの音楽学校に入学、指揮者として知られるモーウンス・ヴルディケ(モーゲンス・ヴェルディケ)にオルガン、アレクサンダー・ストフレーインにピアノ、バロック音楽とハイドンの研究者イェンス・ペーター・ラーセンに音楽理論を学びました。王立デンマーク音楽アカデミーとコペンハーゲン大学を修了。1928年にコペンハーゲンの改革派教会のオルガニストに就任し、イェーヤスボー教会、三位一体教会、聖アンドレーアス教会のオルガニストを務めました。ヴィーザウーは、古典的オルガン作品のレコード録音によって国外でも知られ、イェール大学とノーステキサス大学から客員教授に招かれ、フィンランドのオーボ(トゥルク)大学からは名誉博士号を授与されました。彼の演奏は、オルガンの歴史、楽器の機構、レジストレーション、音楽の様式の深い知識をベースにした、恣意的な解釈と妥協を排し、作曲者の意図を可能な限り正しく表現したものとして、高い評価を受けています。ヴィーザウーの音楽を4つのアルバムで「回顧」するシリーズ。第1集のメイン・プログラムは、J.S.バッハの『オルゲルビュヒライン(オルガン小曲集)』の全曲演奏です。正確なリズムとアーティキュレーション、レガート奏法により、デンマークだけでなくヨーロッパとアメリカのバッハ演奏を変えたといわれます。マークセン(Marcussen&Son)が1942年に制作した37ストップのオルガンが設置されたシェラン島のソールー教会での録音です。この録音が企画されるきっかけとなったHMV録音の《トッカータとフーガ ニ短調》が「Bonus track」に収録されています。このシリーズは、Bonus trackをのぞき、オリジナルのステレオ録音で構成されています。1950年代の録音は、Metronome Recordsの録音技師、デンマークでステレオ録音を最初に採用したひとり、後にEratoのチーフエンジニアを務めるペーター・ヴィレモエス(1927-2002)が担当。Telefunken Neumann M49マイクロフォンを2本使い、ヴィーザウーが望んだという透明な音像に捉えています。復刻はクラウス・ビューリトが担当しました。オリジナルのテープ録音と、転写などの問題のあるものは未使用の盤を含めVinyl LPを使い、ヴィレモエスが手がけた1950年代初頭の録音も、ヴィーザウーの芸術を時を超えて楽しめる最良の音に復元しています。
東京エムプラス
発売・販売元 提供資料(2018/06/25)