実に8年ぶり、長い年月をかけじっくりと時空を越えて届けられた曇りなき音楽
これまでのどの作品よりも“伝える"意思の込められた4作目のアルバム。ハナレグミを迎えた(6)「雨ふり」では言葉と間を丁寧にやさしく包みこんだセッションを披露。美しい日本語を丁寧に紡がれた今作は8年分の期待を十分に越えてくれた安定の名盤。
(C)津田沼店:吉原 裕也
タワーレコード(2018/07/20)
3rdアルバム『VOLCANO」より8年ぶり(!)と、長い時間をかけて熟成させながら到達した本作には、どのような変化があるのだろうか?
一番の変化は、前作リリース以降に目覚め始めたYOSSYの"うた"への向き合い方だろう。それまでは英語詩中心で、ヴォーカルも1つの楽器として語感を楽しむスタイルだったのが、より"伝える"ということへの意識の変化から、日本語詩の楽曲に取り組んでいるのだ。それは、言葉と間を大切にするアーティスト=ハナレグミや、メジャーフィールドど真ん中で活躍し続けるMr.Childrenのサポートといった活動から受けた影響も大きいだろう。 また、関西から関東へ移り住んだこと…とくに現在は自宅で練習や録音のできる素晴らしい環境で、思いついたアイデアをすぐに試せたり、納得いくまで2人のアンサンブルを高められたりと、ストレスなく音楽と向き合えていることで、2人の演奏を、より繊細に、包容力に満ち溢れたものにしている。
本作ではYOSSYの鍵盤とicchieのトランペットという軸はそのままに、この自宅スタジオ"STUDIO OPPE"で波多野敦子(ヴィオラ)、伊賀航(ベース)、栗原務(ドラムス)といったミュージシャンを中心に、リラックスした雰囲気でレコーディングを敢行。しっとりとした歌声が心地よいハナレグミとのデュエット「雨ふり」、軽快なSKAナンバー「Talking About Love」、表情が刻々と変わってゆく空模様を巧みに表現した「Thunder」などを含む全9曲。8年待ったリスナーの期待を、どれも軽く越えてくる名作が誕生した。
参加アーティスト(50音順)
伊賀航 / 石井マサユキ / 栗原務(Little Creatures) / 小池龍平 / 椎野恭一 /波多野敦子 / ハナレグミ
発売・販売元 提供資料(2018/05/01)
セッション・ミュージシャンとしても引く手数多な鍵盤奏者/シンガーのYOSSYとトランペッターのicchieによるデュオが放った8年ぶりの新作は、移ろいゆく空模様をテーマに伊賀航や栗原務ら旧知の仲間とリラックスしながら録音。初挑戦となる日本語詞からも飾らない表情が伝わってきます。軽やかなスカ"Talking About Love"やハナレグミとのジャジーなデュエット"雨ふり"など、突然の夕立も楽しめそうな一枚。
bounce (C)山西絵美
タワーレコード(vol.416(2018年6月25日発行号)掲載)