日本生まれの異彩3人によるアーティスティックなピアノ・トリオ作品の登場。
ピアニストの米沢めぐみは、バークリー卒業後、ジェイソン・モランの推薦のもと、グレッグ・オズビー・グループのレギュラーとして活躍。北米、ヨーロッパを中心にツアーへも同行するほか、アルバム『Public』にも参加。またジョン・エベール、エリック・マクファーソンというリズム・セクション(フレッド・ハーシュのレギュラートリオと同じリズム・セクション)を迎えた作品をFresh Sound New Talentでリリースしているピアニスト。ベーシストのマサ・カマグチは同じくバークリーに進んで在学中より才能を発揮。ニューヨークに移ってからは最も共演依頼の多いベーシストとして数多のトップミュージシャンと共演。デヴィッド・マレイ、ソニー・シモンズ、トニー・マラビーといったサックス奏者から、大巨匠トゥーツ・シールマンス、またベン・モンダー、フランク・キンブロウといった90年代あたりから頭角を現した同世代のアーティストまで幅広い活動をみせている。ドラマーの小林健は多摩美術大学在学中より、アヴァンギャルド・ジャズに興味をもって、ドラマーを志し、現在はニューヨーク在住。ラヴィ・コルトレーンや、ダン・ニマー、またトーマス・モーガンらと共演している。2006年よりマサ・カマグチはバルセロナに拠点を移しつつも、ヨーロッパと北米でも活動。本作は、正に海外で活躍する日本人の今が記録されています。
ドラマーの小林健は「この作品には、ブルックリンのクラブに実際に鳴り響く音や、空気感が収録された」というように実際語っていますが、3人の演奏は、60年代半ばあたりから連綿とNYで繰り広げられてきた自由な即興劇。ほとんどの楽曲は3人のオリジナルで、インプロヴィゼーションを中心としています。しかし、そのような極めて自由なフォームを基礎としつつ、3人の演奏は、絶妙な均衡で作用してさながら、対話のよう。そこには一瞬一瞬の煌めきと鮮やかさのようなものが宿っています。また、その中で、聴かれるスタンダード"I'll Be Seeing You"が白眉。この楽曲は、元々映画音楽で、切なくもロマンティックな詩とメロディで知られますが、即興劇の中で、浮かび上がるメロディの響きには、ハッとするような美しさが宿っています。そして、この美しさこそ、即興と共に、このトリオの特長。音数を抑え、静謐な空気感があるM7などには、ある意味ECMレーベルの世界に通じる静のアートあり、ラスト曲で"I love you Poggy"が浮かびあがるところも秀逸です。作品のライナー・ノーツはマシュー・シップ。
発売・販売元 提供資料(2018/04/19)