リジー・ボウガツォス、ブライアン・デグロウ、ジョシュ・ダイアモンドを中心に2000年代前半に結成。アニマル・コレクティヴやLCDサウンドシステム、バトルズなど、その後ヘッドライナー級アクトへと成長する才能を生み出しまくった2000年初頭のニューヨークにおいて、音楽とアートの境界線を破壊し、一際異彩を放った尖鋭的音楽集団ギャング・ギャング・ダンスが7年の沈黙を破り再始動&新作を〈4AD〉よりリリース。
初期作品は当時ニューヨークで勢いのあった実験的音楽シーンの中で高く評価され、2008年8月8日にはボアダムスによる88 Boadrumで指揮を任され、その直後にリリースされた傑作『Saint Dymphna』(2008年作)で一躍カルト・バンドの域を超え、盟友アニマル・コレクティヴと共にシーンの中心的存在となった。本作は、ニューヨークのスタジオやアートスペースでレコーディングセッションを何度か行ったのち、Boadrumで出会いアット・ザ・ドライヴ・インでも一時的にドラマーとして活躍したライアン・ソーヤーと、アリエル・ピンクとのコラボでも知られ本作ではプロダクションの一部とミキシングを担当したホルヘ・エルブレヒトと共に作品を完成させた。
ポスト・ロックからエレクトロニカ、インダストリアル、シューゲイズ、サイケ、エクスペリメンタルなど、ありとあらゆるリズムとスタイルを1つに纏め上げ、そこにリジー・ボウガツォスのシャーマニックなヴォーカルが加わることで、鮮かでトライバルな異世界へと誘う唯一無二の音楽スタイルは7年の歳月でさらに磨きのかかったネクストレベルに達する内容となった。
国内盤CDには、ボーナストラック「Siamese Locust」を追加収録し、解説と歌詞対訳が封入。
発売・販売元 提供資料(2018/04/12)
2000年代のNYインディー・ブームを牽引したギャング・ギャング・ダンスが、7年ぶりとなるニュー・アルバムを携えてシーンに帰還した。タイトルの〈Kazuashita(和明日)〉には〈Peace Tomorrow〉という意味を込めているようで、ハードな世界情勢が反映された作品だ。ドキュメンタリー映画「私はあなたのニグロではない」(2016年)に影響を受けたという"Young Boy(Marika In Amerika)"など、コンシャスなリリックが印象的。一方でプロダクション自体には持ち前の折衷性が発揮されていて、トライバル・ビート、エレクトロ・ポップ、アンビエントといったさまざまな要素を織り交ぜ、甘美な響きを放つものに。それはさながら、この世界に一筋の光を誘う祈りのようである。
bounce (C)近藤真弥
タワーレコード(vol.416(2018年6月25日発行号)掲載)