ビートルズにも影響を与えたラヴィ・シャンカールを筆頭に1960年代後半に世界を席巻したインド音楽(ラーガ)。インド系移民の多いイギリスではその後ロック、フォーク、ポップス、ジャズと様々なシーンに影響が波及する中、1970年代初頭に活動した幻のカルト・バンド、マジック・カーペットの中心人物であるシタール奏者クレム・アルフォードに在英インド人のタブラ奏者のマンジート・シン・ラシヤ、クラリネット演奏のアイドリス・ラーマン(スースセイヤーズ、ワイルドフラワー、イル・コンシダード)、ドラマーのエディ・ヒック(ルビー・ラシュトン、アシュレイ・ヘンリー&ザ・リ・アンサンブル)をメンバーに擁し、ティム・デラックスの名で世界を席巻したプロデューサー、ティム・リッケンが指揮を執るユナイティング・オブ・オポジッツがデビュー作『Ancient Lights』をリリース。
ジャズ・ロックやクラウト・ロックにインド音楽を融合した「Mint」やタイトル曲は、かつてのサイケデリック・ロックから、アリス・コルトレーンやデイヴ・パイク・セットなどのインド音楽を取り入れたラーガ・ジャズにも繋がる世界。ディープ・ブラック・ジャズの「Dr. Roach」やアフロ・スピリチュアル×インド音楽調の「Car Number 27 / Mr Alpo」は、アイドリスのワイルドフラワーやイル・コンシダードほか、シャバカ・ハッチングスやヌビア・ガルシアら南ロンドンのジャズ・シーンにも繋がるような曲。コズミック・ジャズと形容すべき「Corridor Moves」では、フローティング・ポインツばりの音響効果&スペース・エフェクト。ダブ・エフェクトが大きく用いられた「Vortex Number 9」は、ニティン・ソーニーやタルヴィン・シンなどUKエイジアンたちの音楽との接点も見られる。また本作のアートワークは、『Dazed』誌が「サルバドール・ダリからサン・ラまで全てにインスピレーションを受けた現代のシュルレアリスト」と称した日本人アーティスト、青山ときおが手がけている。
発売・販売元 提供資料(2018/03/02)
インド音楽をキーにしたジャズ・プロジェクトがトゥルー・ソーツから登場……と思ったら、あのティム・デラックスことティム・リッケンの指揮するバンドだそうで。70年代に活躍したマジック・カーペットのシタール奏者、クレム・アルフォードらを擁し、サイケからダブまでスピリチュアルの一言では終わらない音像を披露。G&D周辺やワールド・ギャラクシーでお馴染みトキオ・アオヤマのジャケも極楽気分を盛り上げる。
bounce (C)香椎恵
タワーレコード(vol.414(2018年4月25日発行号)掲載)