ベテラン・サックス奏者、デイヴ・リーブマンの新作はケニー・ワーナー、デイヴ・ホランド、ジャック・デジョネットという超強力メンバーによるワンホーン・カルテット!
精神的に開放され且つ技術的にも優れた真のインプロヴァイザー達の最高レベルに成熟した即興音楽!!!
意欲的に創作活動を続けるベテラン、デイヴ・リーブマンの新作は、ケニー・ワーナー(p)、デイヴ・ホランド(b)、ジャック・デジョネット(ds)という超強力メンバーによるワンホーン・カルテット!!全編フリー・インプロヴィゼーション的な作品である。リーブマンが60年代後半にホランドとデジョネットと出会ってから50年ほど。リーブマン曰く「言わせてもらえば、私たちはこの数十年で間違いなく上達した。"フリー・ジャズ"を演奏する場合は特にだ。少なく、柔らかく演奏し、何よりも気持ちを表現する能力において、最高レベルの成熟度を示す。」また、「このレコーディングに関して、ケニー・ワーナーがジャックとデイヴをリズム・セクションに参加させる機会は、彼が私の探していた非常に開放的で自由な構想にぴったりだったので、幸運だった。」とのこと。ケニー・ワーナーは自身のアルバム『A Delicate Balance』(1998)で、ホランドとデジョネットとのトリオで共演している。タイトルの通り、"火"をコンセプトにした作品で、全曲火にまつわる曲名が付けられているが、内容はフリー・インプロ。特にタイトル曲"Fire"は30分以上に及ぶ熱演である。"Sparks(火花)"は"Flames(炎)"から"Inferno(猛火)"となり、そして"Ashes(灰)"だけが火による破壊的遺産として残る。目まぐるしいインタープレイの応酬は、精神的に開放され且つ技術的にも優れた真のインプロヴァイザーだからこそ成せる業。決してtoo muchにならず、音色、ダイナミクス、音の厚み、リズム、速度など、柔軟に変化する音楽は、まさに最高レベルに成熟した即興アンサンブルだ。本作のタイトル『Fire』は、The four elements(四元素)のAir(空気)、Fire(火)、Water(水)、Earth(土)の中のひとつであり、パット・メセニーと共演した『Water: Giver Of Life』(1999)と、『Air』(2011)に続く、The elementsシリーズの3作目。
発売・販売元 提供資料(2018/02/21)
これは間違いなく後年リーブマンの最高傑作に数えられるだろう。今の時代に刻んだ真摯な追求の大きな実りだ。時代の風潮に惑うことなく様々なディメンションで演奏を続けてきたリーブマン、フリージャズの時代をも包含するジャズの歴史がここに集約された。それにしてもリズムセクションの驚愕の素晴らしさだ。ワーナーへの見方を一変させるハイテンションなプレイはあえてセシル・テイラー・ファンへ薦めたい。かつてマイルスがかけた「メンバーへの魔法」が全員を高みへと飛翔させる。(2)での"フリーな瞬間"は、ジャズがあらゆる可能性をまだまだ見せてないことを感じさせる。全身で推薦したい。
intoxicate (C)瀧口秀之
タワーレコード(vol.133(2018年4月20日発行号)掲載)