エヴリシング・バット・ザ・ガールの顔として、また90年代にはオルタナ・ポップ・シーンの代表的存在として大成功を収めたシンガー・ソングライター=トレイシー・ソーン、8年振りとなるスタジオ・アルバム!
ソロとしてはアコースティックでメローな楽曲が多かったトレイシーですが今作ではアップテンポな80年代シンセポップ風な楽曲を多く収録! スペシャル・ゲストとしてウォーペイントのステラ・モズガワ(Dr)とジェニー・リー・リンドバーグ(B)が参加!
前作『ラヴ・アンド・イッツ・オポジット』をリリース後、2012年にクリスマス・アルバム『ティンセル・アンド・ライツ』、2015年にはソロ・ベスト・アルバム『ソロ:ソングス・アンド・コラボレイションズ 1982-2015』をリリース。今作には、これまでのメローでアコースティックなアルバムとは異なり、アップテンポな80年代シンセ・ポップ風な楽曲を多数収録!
発売・販売元 提供資料(2018/01/19)
とりたてて歌が上手いわけでも美声でもないのに、一種の独特な魅力に惹かれてしまうシンガーが稀にいるが、僕にとってトレイシー・ソーンはその筆頭かもしれない。ホリデイ作品やベスト盤を挿んで8年ぶりに登場したこのオリジナル・アルバムは、近作のアコースティック路線からシフトしてイワン・ピアソンによる80sニューウェイヴ・ディスコ風のプロダクションが施され、全編が煌びやかなサウンドで彩らている。もっとも曲調がどうであれ、アンニュイさのなかに強い意志を秘めた個性的な歌声が、眩い存在感を放っていることは言うまでもない。本人も〈昼間に聴く作品にしたかった〉と語る通り開放的なアップが多く、なかでも注目すべきは8分半にも及ぶ"Sister"か。ウォーペイントのリズム隊とコリーヌ・ベイリー・レイをゲストに迎えた同曲は、リジー・メルシエ・デクルーにも通じるドープなアブストラクト・ファンクな逸品に。また、享楽主義のクラブ讃歌とも言うべき"Dancefloor"で本編を締め括る感じも心憎い。
bounce (C)北爪啓之
タワーレコード(vol.413(2018年3月25日発行号)掲載)