『アークライト』の路線をつきつめる注目作!!
プロデューサーには再びジェシー・ハリスを迎え、リズム・セクションも、憧れのジム・ホールのバンドで出会ったスコット・コリーとケニー・ウォルセンという不動のトリオ。『アークライト』制作にあたってジュリアンは、バップ以前の楽曲にフォーカスし、ジャズ、フォーク、カントリー・ミュージックといった音楽を包括するようなアメリカン・クラシック的な音楽を聴かせてくれましたが、本作も基本的に同路線。しかし、今回は全曲オリジナル・ナンバーで固め、エレクトリック・ギターをリード・ヴォイスにして新しい世界を切り拓いています。
ジュリアン自身曰く「本作モダン・ロアでは、オリジナル曲を通して、進化したサウンドになった。これらの曲は、最初の一小節でサウンドの基調を打ち出してしまうようなリトル・リチャードやボ・ディドリーといったアーティストの、初期のロックンロール的なイメージにより強く沿って、描きだした。バンドのサウンドはグルーヴしていて、ギターもよりダイナミックになって爆発している!」とのことですが、その自身の言葉通り、アルバムはオープニングから、アップテンポで、勢いにあふれたカラフルなサウンド。ロックンロールのスピリットも満載しつつ、最高にキャッチーで、カッティングエッジなフィーリングも感じさせます。しかし、そうしたロックなスピリッツや、現代性の中に、様々な要素が混じり合っているのが、ジュリアンの演奏。アメリカの中西部の平原を感じさせるようなカントリー・ムードあり、スペイシーなハーモニーにパット・メセニーやビル・フリゼールあたりの音風景を想起させるナンバーあり、ビートルズ的なセンチメンタルなメロディあり、そうかと思えば、尊敬しているミュージシャンとしてその名をあげるオーネット・コールマンのハーモロディック的な演奏までをも自在に織り込む展開!しかし、それだけの要素がありつつ、一人のアーティストのサウンドとして昇華させているのがジュリアンの才能。ジュリアン自身、「このバンドのサウンドは、万華鏡のよう。でも、メロディは、自分が、実際に歌いやすいメロディを書いた」といっていますが、様々な影響を受けながら、それが自分のものとなっているからこその音楽で、この作品の世界といえそうです。
発売・販売元 提供資料(2017/12/13)