絶賛された前作『DANCE TO YOU』、そして大盛況だったTOUR2016に続く動きをファンが固唾を飲んで見守る中、2017年6月に"Apple MusicとSpotifyにおけるストリーミング配信のみ"という日本では前例のない形で発表され、大きな反響を巻き起こしたサニーデイ・サービス11枚目のアルバム『Popcorn Ballads』。しかし実際には発表後もこの作品の制作は続いており、新曲が生まれては消え、大半の曲にリアレンジやリミックスが施されていきました。さらに泉まくら、CRZKNYが客演するなど、『Popcorn Ballads』は拡大しながら輪郭を変え、夢想され計画された姿に徐々に変容していきました。そして遂に、『Popcorn Ballads』はまさにディレクターズカット完全版と言える状態でフィジカルリリースが決定。 (C)RS
JMD(2017/11/23)
日本では珍しい突然のストリーミング配信で話題を呼んだアルバムが、内容を大幅に更新して100分超の2枚組に結実した。〈戦時下の恋人たち〉がテーマとなり、全編にロマンティックかつサイケなムードが漂うが、音楽的な特徴となっているのはファンキーなリズム。なかでもトラップの影響が色濃い"クジラ"を筆頭にヒップホップへの傾倒が顕著で、C.O.S.A.とKID FRESINO、さらには泉まくらというゲストの人選やさりげないオートチューン使いにもそれがよく表れている。異色なところでは、ジュークという枠組みを超えて暗躍する奇才CRZKNYの信号音をフィーチャーした"抱きしめたり"も印象的。〈到達点の先の実験的な大作〉という意味で、2010年代の『24時』とも言えよう。さよなら! 街の恋人たち。
bounce (C)金子厚武
タワーレコード(vol.410(2017年12月25日発行号)掲載)