彼女たちのデビュー・アルバム『Ibeyi』(2015)で世界的評価を獲得し、ビヨンセのアルバム『Lemonade』(2016)のショートフィルムにもフィーチャーされるなど、ますます注目を集めるイベイー。当時とは、彼女たち自身も世界情勢も全く違う状態である今、新たに完成した『Ash』は、より直感的で、パワフルな政治的ステートメントを含んでいる。公開された「Deathless」(カマシ・ワシントン参加)は、メンバーのリサの実体験をもとに、警官による暴行や人種差別といった組織的抑圧に限らない、あらゆる不正に対する彼女たちの強烈な声明だ。またアメリカの大統領選期間中に作曲されたというアルバムタイトル曲「Ash」は、希望が失われた全ての場所からポジティヴな力を引き寄せる曲を書こうとして生まれたという。リチャード・ラッセルがプロデュースを手掛け、彼女たちのルーツであるヨルバの伝統音楽をブレンドしたポップかつソウルフルなサウンドで、女性であること、精神性、行動主義、レイシズムといったテーマを掘り下げ、新たな黄金期を迎えた新世代ジャズ・シーンのトップに君臨するカマシ・ワシントンの他、天才音楽家チリー・ゴンザレス、コンテンポラリー・ジャズ・シーン~ファンクR&Bを股にかけ活躍する孤高のベーシスト、ミシェル・ンデゲオチェロ、スペインのマラ・ロドリゲスといった豪華なゲストが参加している。
発売・販売元 提供資料(2017/09/20)
華々しいデビューから2年半の間に激変した世界情勢を受け、政治的なステイトメントも含んだという2作目です。双子姉妹の肉声をガツンと前に出し、そのぶんビートはシンプル&ストロングなものへ。ビョーク『Medulla』のように重層的なコーラスとアフロ・ポリリズムがマッチしていて、カマシ・ワシントンやミシェル・ンデゲオチェロなどゲストの熱演も作品に雄大なスピリチュアリティーをもたらしています。
bounce (C)山西絵美
タワーレコード(vol.408(2017年10月25日発行号)掲載)