映画「美しい星」(吉田大八監督)、「ローリング」(冨永昌敬監督)など、近年、話題作の音楽を数多く手掛ける天才音楽家・渡邊琢磨が、俳優・染谷将太監督の短編映画3作品のためのサウンドトラックを解体・再構築して作り上げた、奇想天外な"アンビエント・アルバム"。 本作『ブランク』は、渡邊琢磨が手掛けた、俳優・染谷将太監督による短編映画3作品『シミラーバットディファレント』、『清澄』、『ブランク』のためのサウンドトラックを解体・再構築し、アーティストアルバムとして作り上げられた作品。 「染谷将太監督の映画に音をつけてみると、どれもこれも持続音が主体の緩慢な曲になったため、音楽単体で聴くと映画のエモーションとは全く無関係に思えた。それが切っ掛けで、これらの音素材を、アンビエント・ミュージック(環境音楽)として再構築して、まったりお酒を飲むときのBGMにしようという着想を得た。」(渡邊琢磨) 以降、3本の染谷将太監督作品の音楽に携わる過程で、サウンドトラックの解体→再構築、という作業を繰り返す。その結果、とてもユニークで奇想天外なアンビエント・ミュージックが展開される本作が誕生した。前作『Ansiktet』の延長線上にある、ピアノとストリングスによる幽玄でクラシカルなオーケストレーションを基調に、ジャズ、民族音楽、フィールドレコーディング、ダンスミュージックまでを飲み込んだ、渡邊にしか作り出せない調和と混沌が複雑に入り交じった、イマジネイティブな音の世界が広がる。 マスタリングはオーストラリアを代表するサウンドアーティストLawrence English(ローレンス・イングリッシュ)が担当し、渡邊の音楽の世界観により一層の深みを与えている。アルバムのジャケットは渡邊琢磨と染谷将太が被写体となり、不条理な世界観を彷彿させる撮り下ろし写真が用いられている。
発売・販売元 提供資料(2017/09/26)
『ブランク』というタイトルが付された渡邊琢磨の新作は、本人によれば染谷将太監督の短編映画のためのサントラを映像から解放、自律したBGMとして仕立て直して制作したサントラだという。例えばジョナス・メカスのフローズン・フレームのようにフィルムの数コマを切り取ってスチール作品に仕上げる、そんな視線か。これをアンビエント・ミュージックだと本人は言うのだが、白いキャンバスを白く染めて出来上がるサム・フランシスのホワイト・ペインティングのノイズのレイヤーが作品を浮かび上がらせるが如く、サウンドを背景から浮かび上がらせようとする彼の意図は消えることなく、アンビエント・ノイズとして反響する。
intoxicate (C)高見一樹
タワーレコード(vol.130(2017年9月25日発行号)掲載)