世界的な大成功を収めた前作『A U R O R A』(2014)から3年、エレクトロ・ノイズの鬼才 ベン・フロストは、スティーヴ・アルビニとの録音で生み出された新作『ザ・センター・キャンノット・ホールド』をリリースする。本作は、シカゴにあるスティーヴ・アルビニのスタジオで約2週間に渡りレコーディングされ、その制作期間中にスタジオ空間で鳴らされたサウンドは、時に制御不可能になり、ベン・フロストとスティーヴ・アルビニに対し熱く激しく張り合うかの如く火花を散らしたのだった。本作はまさにスタジオで起こったドキュメントである。
2016 年夏、ベン・フロストはシカゴに降り立った。それはあのスティーヴ・アルビニとの共同作業に入るためであった。約2週間を超える期間に制作された、今まさに崩壊しそうなくらい膨大に膨らんだ音の塊を、ガランとしたスタジオの中に並べられたアンプ群に流し込んだ途端、スピーカーの方がぶっ飛んだのだった。またスタジオのガラスの向こう側では、アルビニがスタジオで演奏された音源を縦横無尽にぶった切っていった。轟音と静寂のシューゲイズ / エレクトロ・サウンドの決定打となった前作『A U R O R A』(2014) は、ピッチフォークでベスト・ニュー・ミュージックを獲得するなど世界的な成功を収め、またブライアン・イーノ、ティム・ヘッカー、ビョーク等とのコラボレーション、映画音楽制作など多岐にわたる活動を続けてきたベン・フロスト。その飽くなき挑戦を続けてきた彼が新たに踏み込んで行った先は、シカゴでのスティーヴ・アルビニとの共同レコーディングだった。
発売・販売元 提供資料(2017/08/23)
美麗な電子シューゲイザーを聴かせてくれた彼が、ビョークやティム・ヘッカーなどの裏方仕事を経て、こんなにも攻撃的な表情を見せるとは! その変貌ぶりはパートナーにスティーヴ・アルビニを迎えた点からも明白で、無数に切り刻んだ轟音ノイズと、突如として訪れる静寂とのメリハリによって壮絶なドラマを描き出している。2人の天才がスタジオで火花を散らしている様子が目に浮かぶ、スリリングな実験音楽集。
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タワーレコード(vol.407(2017年9月25日発行号)掲載)