2015年最も高い評価を集めたデビュー作の一つとされた『Sprained Ankle』を、友人と一緒に若干18歳で書き上げ、ソングライターとリリシストとしての才能に大きな注目を集めたジュリアン・ベイカー。女性であること、同性愛者であること、クリスチャンであること、自身のアイデンティティーと壮絶な経験を通して、孤独や自己破壊への衝動、信仰とそこから生まれる葛藤を誠実にドキュメントした内容を、The New York Timesが「今にも壊れそうな儚さから告白へ至る強さ、贖罪とトラウマを詩的に豊かに表現した音楽」、Pitchforkが「素晴らしい才能を持った作曲家であり、彼女のイメージは感覚を突き刺してくるが、その声は人の心を掴んで離さない」と評した他、Rolling Stone、Noisey、MOJOなど主要音楽メディアがこぞって賞賛し、エリオット・スミスのトリビュート・アルバム『Say Yes! A Tribute to Elliott Smith』への参加を経て、2017年に入って〈Matador Records〉と契約。さらなる注目が集まる中、待望のニュー・アルバム『Turn Out The Lights』をリリースすることが発表された。
私の人生に起きた色々なことが急激な変化をもたらした。そのどれもが、これ以上悪くなることなんてないはずって思うくらいのものだった。アメーバのように悲しみが限界まで膨らんで、もう立ち直れない可能性もあったと思う。でも自分が存在し続けるためには、それができると信じなければならない。- Julien Baker
ジュリアンが生まれ育ったテネシー州メンフィスの伝説的スタジオ、Ardent Studiosでレコーディングされた本作『Turn Out The Lights』では、聴くものの感情を揺さぶるソングライティング・スタイルはそのままに、『Sprained Ankle』で見られた音作りや視点をさらに追求。アルバム全体を通して、自身や大切な人たちの人生を題材に、困難にどう向き合うべきか、そしてそれがどのように自分自身や周囲に影響を与えるかという、誰もが持つ内に秘めた葛藤を切実に歌い上げる。作詞作曲はジュリアン・ベイカーが行い、ザ・ナショナル、アーケイド・ファイアー、ザ・マシーンらを手がけてきたエンジニア、クレイグ・シルヴェイがミックスを務めている。
国内盤CDには「Red Door (Demo)」と「Funeral Pyre」の2曲がボーナストラックとして追加収録され、解説書と歌詞対訳が封入される。
発売・販売元 提供資料(2017/08/23)
薬物依存や自殺未遂など辛い過去を赤裸々に綴った初作から2年。20歳になったメンフィス出身のシンガー・ソングライターによる2作目は、外部プレイヤーを起用して音の厚みが増した印象だ。独白調の歌世界はそのままながら、ヴァイオリンやフィドルに後押しされ、"Appointments"で〈きっと何もかもうまくいく〉と明日への希望を垣間見せる瞬間が泣ける。〈フォーク版ラナ・デル・レイ〉といった雰囲気。
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.408(2017年10月25日発行号)掲載)
2015年、LP限定で登場したデビュー・アルバム『Sprained Ankle』は、赤裸々な歌詞と触れたら崩れ落ちてしまいそうな危い歌が人々の心を捉え、メディアでも絶賛の嵐となった。その後、人気は留まることがなく、2017年の3月にはマタドールにライセンスされて再発される加熱状態だ。そんな彼女による新作は、繊細かつひりひりとした歌唱で誰もが持つ葛藤を切実に綴る。彼女のように内面を曝け出すような歌には、聴き手にも体力や精神力が要求されるが、揺らぎや浮遊感のあるギターを中心としたアンビエンスを湛えた各楽器の響きが、心地の良い状態へと誘ってくれるだろう。日本盤に付属の対訳を読みながらどうぞ。
intoxicate (C)青木正之
タワーレコード(vol.130(2017年9月25日発行号)掲載)