2010年、ジャズ・アーティストの登竜門となるセロニアス・モンク・インターナショナル・ジャズ・コンペティションのウィナーとなり、2016年にはグラミー賞最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバムに輝く等、今最も注目を集める女性ジャズ・ヴォーカリスト、セシル・マクロリン・サルヴァントの一年ぶりの新作。本作は、そんな彼女がNY のジャズの殿堂、ヴィレッジ・ヴァンガードで行ったライヴを収録した作品!その中には、ストリングスをフィーチャーしたトラックもあり、グラミー賞を受賞した前作『フォー・ワン・トゥ・ラヴ』の延長線上といえる、ミュージカル的なものも、はさみつつ、シンプルに、オリジナルのトリオをバックにした歌唱も、魅力的に響きます。来日公演でも、余裕もたっぷりに演奏を聴かせたアーロン・ディールは、ジュリアードを出た、これまたジャズ界の秀才。ハード・バップの伝統をおさえ、若くして気品さえ漂わせるピアノは、古き良きジャズが薫り、セシルのヴォーカルと心地いいスウィング感を生みだします。どの曲も安定感たっぷりな中で、たとえば、CD1=M6"Never will I marry"は、力強い4 ビートがグルーヴを生む一曲。楽曲がシンプルなだけにピアノ・トリオと、自在なセシルのヴォーカルの息の合った対話が特に鮮やかなコントラストを描き、ヴァンガードに興奮をもたらしています。また、M10 は、コード楽器なしのベースとドラムだけをバックにしての歌唱。その上で、声色なども変化させ、絶妙なリズム感で豊かな物語を紡ぎ出すところも実力の証といえます。 NYという厳しいジャズの現場、しかも、その最も伝統と格式の高いヴァンガードの場を熱狂させられる存在!
発売・販売元 提供資料(2017/08/09)
グラミー賞受賞おめでとうございます!二度あることは三度あるそうなので2018年も楽しみです。さて、改めて2017年リリースのヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴとスタジオ制作をうまくまとめた二枚組のご紹介ですが、兎にも角にもセシルのジャズがこってり楽しめる内容です。弦楽四重奏を交えたスタジオ版はセシルの声と弦の混ざり具合が心地いいし、ライヴ版はデッドな音がなんともウォーム&クラッシーな響きで、音の輪郭がはっきりくっきり聴こえてくる。二枚めの《I didn't Know What time it was ?》のスインギーなアレンジが新鮮。失敗を恐れず大胆に、繊細に歌い切るところがさすがですなあ。
intoxicate (C)高見一樹
タワーレコード(vol.131(2018年2月20日発行号)掲載)