生誕100年を迎える20世紀の偉大なるアーティスト、コンポーザー、セロニアス・モンクの音楽をビッグ・バンドでアレンジする話題のプロジェクト、モンケストラの第二弾!題材にするのは、基本、モンク・コンポジションで、楽曲は、モンクが生きていた時代のもの。しかし、本作では、バンドの自由度がグッと広がったことが感じられます。楽曲が元々持っていたエッセンスをしっかり捕まえて、アンサンブルとしてアレンジしつつも、アルバム全体として色彩感も格段にアップ!オリジナリティも増しています。実際、第一弾から、本作の録音までには、数多くのライヴも行ったとのこと。その場で、総帥、ジョン・ビーズリーは天才的なモンクの奥深さをより認識すると共に、その音楽を自由に書き換え、ミュージシャンに如何に自由をつくっていくかを模索し続けたといいます。基本は、16ピースのラージ・アンサンブル。前作から一名少ない編成ですが、今回は、ゲスト・アーティストを効果的にフィーチャー。オープニングはヒップなビートを土台に、モンク・ナンバーのリフが登場するかと思うと、そこに、ラップが切り込んでくる展開。前作とは違った革新的な演奏を予感させてあまりあります。一転、トラッド的な風合いのM2になり、そのままレジーナ・カーターをフィーチャーして、エリントンへの憧憬を見せる演奏に伝統をみたかと思うと、M4ではコンテンポラリーなリズムをフィーチャーしたEvidence。テンポが変わってギア・チェンジしたところで登場するのは、あのカマシ・ワシントン。スピリチュアルに吹きまくり!かと思いきや、ビートはスウィンギーに切り替わり、トロンボーン・マスター、コンラッド・ハーヴィクにバトンタッチ・・・。ニューオリンズのセカンドラインのシンコペーションを大胆に導入したM6は伝統的なアンサンブル・サウンドとも自在に行き来する演奏。またM8ではカーメン・マクレエを追慕するダイアン・リーヴスが登場し、かと思えば、M9ではペドロ・マルチネスをフィーチャーし、アフロ・キューバンなテイストを全面的に取り入れる展開も見せます。ジョン・ビーズリー曰く、「現代にはファンク、リズム・アンド・ブルース、アフロキューバンの影響、ヒップ・ホップといったものが混在している。アレンジはそのようなリズムを元に始まった。昔のものは偉大であるけれど、やりつくされてしまっている感もある、それらをなぞらえるものにはしたくなかったし、自分としては、自身のオリジナルなものを創りたかった」とのことですが、それらの構想が、記念イヤーに、見事に結実したといえそうです。決して、新しいものだけに目を向けるわけではなく、モンクのエッセンスはそのままに・・・楽曲を聴いていると、時間旅行、そして、いろいろな土地に誘われるようでもあります。ジャズ・フィールドはもちろんのこと、ジェイムズ・ボンド・ムービーや、数々のホーム・ドラマの音楽でも活躍する才人ならではの、冒険心に満ちた、モンク集。
発売・販売元 提供資料(2017/08/07)
映像で見る彼らのライヴからは想像できないようなスペイシーな空間を創出しながら強力無比な音が放出される。第一弾に比べて音の塊の濃度、ソロの熟練度は格段に上がっている。米国ではすでに知られた実力だが、マリア・シュナイダーと斯界一を争う実力まで来ていたとは驚きだ。ギル・エヴァンスによって確立された「自由なビッグバンド」の路線を引き継ぎ発展させて来たバンドの中でも出色の自由度とソロのレベルの高さ、音楽性の柔らかさでシュナイダーに迫っていた。さらに世界最高のトロンボーン奏者、コンラッド・ハーウィグも参加、頭差でマリアを抜いた(!?)かもしれない。
intoxicate (C)瀧口秀之
タワーレコード(vol.130(2017年9月25日発行号)掲載)