いきなり英WIRE誌のアルバム・オブ・ザ・イヤーを獲得し、主要メディアが絶賛したデビュー・アルバム『Quarantine』やエクスペリメンタル・テクノ作『Chance of Rain』などのアルバムを通し、高度なスキルと独創性を兼ね備えたポスト・インターネット世代の代表的アーティストとして注目を集めるローレル・ヘイローが、2015年に〈Honest Jon's〉からリリースされたアルバム『In Situ』を経て、再び〈Hyperdub〉に復帰!会田誠の『切腹女子高生』をアートワークに使用したことも話題となった『Quarantine』以来となるヴォーカル作『Dust』を完成させた。
本作の作曲作業は、実験的な科学技術を使った作品、電子音楽やパフォーミング・アーツの発表/研究/作品制作の他、ワークショップやトークなどを行う施設として設立されたメディア&パフォーミング・アーツ・センター(Experimental Media and Performing Arts Center)、通称EMPACで行われている。そこで様々な機材へアクセスを得たローレル・ヘイローは、制作初期段階を一人での作業に費やし、終盤では前述のLafawndahと、ニューヨークを拠点にパーカッショニスト兼画家としても知られるEli Keszlerを招き、セッションを重ね、2年間の制作期間を経て完成させた。
より洗練されたソング・ライティングとカットアップ手法、即興を取り入れた電子音が特徴的な本作には、その他、 Julia Holterや$hit and $hineのCraig Clouse、Zsのメンバーであるサックス奏者、Sam Hillmerのソロ名義 Diamond Terrifierなどが参加し、そのハイセンスな人選にも要注目。
国内盤にはボーナストラックが追加収録され、歌詞対訳と解説書が封入。
発売・販売元 提供資料(2017/05/25)
オネスト・ジョンズからのリリースとなった前作では寡黙にフロアと対峙してみせた才媛だが、古巣ハイパーダブへとカムバックして放ったこの4作目では、その音楽性も回帰。期待された初音ミクの参加こそないものの、ラファウンダ、クラインといった女性作家陣を迎えたリード曲"Jelly"など、ヴォーカル・トラックを揃えた構成に〈宅録女子〉の面影はなく、堂々とした佇まいからは〈音楽家〉としての成長が窺える。
bounce (C)藤堂輝家
タワーレコード(vol.404(2017年6月25日発行号)掲載)