2016年にリリースしたシングル「Lost Boy」がアメリカ/オランダ/デンマークでダブル・プラチナ、カナダ/スウェーデンではトリプル・プラチナの大ヒットとなったカナダ出身の21歳、ルースB.のデビュー・アルバム。瑞々しくイノセントでありながら、ベルベットのような手触りのあるヴォーカルと、シンプルなピアノの弾き語りで歌われる「Lost Boy」は、孤独を癒すように、ピーターパンの世界に一人戯れる物語。子供の頃に、本を読んだりストーリーを考えながら、空想に没頭している時のような感覚を思い起こさせる。本人は人気ドラマ『ワンス・アポン・ア・タイム』の大ファンで、このドラマに影響されて書いた曲だという。曲を書き始めてからすぐに、動画アプリVineで自身の曲を6秒ずつ紹介するようになり、SNSを通じて一気にリスナーが拡大していった。曲が完成する過程を徐々に公開していく視点の面白さがメジャー・レーベルの目に止まり、デビューのきっかけとなった。デビュー・アルバムには「Lost Boy」や「In My Dreams」のように、不思議な異次元に誘ってくれるイノセンス溢れる曲から、思うようにいかない恋を歌った「Superficial Love」のように、等身大の女の子の想いを歌った曲まで、幅広く収録。地に足のついたヴォーカルが心地よく、ジャニス・イアン、ノラ・ジョーンズ、サラ・バレリスのような世界観を思わせる。
発売・販売元 提供資料(2017/04/03)
カナダ出身、21歳のシンガーによるデビュー盤。ピアノの弾き語りでじっくり聴かせる冒頭曲からして圧倒的だ。北欧やUSでヒットした"Lost Boy"も弾き語り曲だし、他のナンバーも音数は極めて少なく、まるで独り言か、目の前にいるただ一人に向けて歌っているような印象だ。が、2枚目のシングル"Superficial Love"はR&B的なグルーヴ感があるし、ポップに弾けた曲もいくつか存在。巨大な可能性を秘めた大器だろう。
bounce (C)内本順一
タワーレコード(vol.404(2017年6月25日発行号)掲載)