京都出身、ベルリン在住の女性アーティストMidori Hiranoによるエレクトロニック・プロジェクトMimiCof。PROGRESSIVE FOrMからリリースした2枚のアルバムにつづく3rdアルバムをThe NotwistのMarkus ArcherとMicha Archerが主宰するドイツのレーベルAlien Transistorよりリリース。
約4年半ぶりのニュー・アルバムとなる本作『Moon Synch』は、ピアノなどによるメロディーときめ細やかなビートにより構築されたドリーミーなエレクトロニカだった前2作『RundSkipper』と『KotoLyra』とは異なるアプローチで作られています。アルバムのもとになったのは、スウェーデンのストックホルムにある国営の電子音楽施設EMS Elektronmusikstudionでのアーティスト・イン・レジデンス期間中に行った、Buchla(ブクラ)というアナログ・モジュラー・シンセのレコーディング。「パズルの欠けたピースを探すかのようだった」と語る、彼女にとって新たな楽器を用いて未知の領域を目指し切り開いた新境地。
前作『KotoLyra』は星座と天体をイメージしていましたが、本作のテーマは地球のまわりを公転する月。平均27日7時間43.193分日周期(偶然にもこのアルバムの尺は約43分です)で公転する月の軌道をたどるようにして、さまざまな表情をみせるスペーシーなモジュラー・シンセ・サウンド。彼女のメイン楽器であるピアノや、分厚いレイヤーを通過するベースラインと精巧なビート。異なるフリークエンシーが相互に組み合わさりながら音の彫刻を形づくり、流れるように進んでいくコズミック・エレクトロニック・ミュージックは、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』の諸シーンを思い起こさせます。
また、昨年(2016年)Sonic PiecesからリリースされたMidori Hirano名義の新作『Minor Planet』は 「Rolling Moon」という曲で幕をおろしますが、これは異なるフリークエンシーが最終的に同期・調和してゆく本作『Moon Synch』へと繋がる暗示とも捉えられます。
国内流通盤のみボーナストラック「Down the Street」「Forest」のダウンロード・コードつき。
発売・販売元 提供資料(2017/04/05)
ベルリンを拠点に活動するアンビエント音楽家、midorihiranoによる電子音楽にフォーカスしたプロジェクト、ミミコフが4年半ぶりに放つ新作。近年は宇宙をモチーフに作品を発表してきた彼女が今作で選んだテーマは〈月の公転〉。自身のルーツであるピアノや生楽器と共に、新たに導入されたアナログ・モジュラー・シンセが中心に据えられ、流れるように様々な「表情」を見せていく楽曲はまるで地球の軌道を回る月からの眺めのよう。どこか原始的な響きを持つこの1時間弱の「旅」はまた、極めて映像的であり同時に我々人間という存在の小ささも示唆しているようでもある。
intoxicate (C)山岡弘明
タワーレコード(vol.128(2017年6月10日発行号)掲載)