Onkel Po's Carnegie Hallは、1970年代から80年代半ばにかけてハンブルク・ジャズ・シーンの中心を占めていた場所。Jazzlineの新シリーズは、そこで行われた著名ジャズ・ミュージシャンのパフォーマンスを発掘、紹介するもので、いずれも2枚組。第1回のリリースはディジー・ガレスピーとチェット・ベイカーです。こちらの主役はチェット・ベイカー。チェットは、70年代半ばにCTIを舞台としてリーダー作やジム・ホールとの共演盤などを発表、米国でも完全復活を遂げましたが、77年のA&M録音『You Can't Go Home Again』はこの時期を代表する傑作と高い評価を得ました。このアルバムに収められている「Love For Sale」は、ジム・ホール盤収録の「You'd Be So Nice To Come Home To」などと同様、オールド・スタンダードに新しい命を与えた名演として知られていますが、ここに収められた79年版「Love ForSale」も、77年のヴァージョンを踏襲してフレッシュな演奏が繰り広げられています。ここでチェットをバックアップしているのは、フィル・マーコウィッツ(p)、ジャン=ルイ・ラシンフォッス(b)、チャーリー・ライズ(ds)の3人。マーコウィッツは78年から数年間チェットのグループで活躍したピアニストで、レコーディング・デビューから間もないとは思えない落ち着いたプレイぶりが印象的です。ラシンフォッスは、80年代半ばまでチェットと行動を共にしたベルギーのベーシストで、その後はクラウス・イグナツェクなどとプレイして話題を呼びました。ドラマーのチャーリー・ライスは、50年代初頭にハワード・マギーのグループで活躍したビ・バッパーですが、エディ・ロックジョー・デイヴィスのバンドで演奏した後、60年代半ばにチェットと出会い、彼のLimelight録音『Baby Breeze』にも参加しています。その後の活動は殆ど知られていなかったので、このアルバムのリリースは貴重な発掘ということになります。クァルテットの演奏は全部で5曲。30分近くに及ぶものもあり、じっくりと4人のプレイを楽しむことができますが、とりわけリーダーのチェットは好調で、長いソロでもアイデアの尽きることがありませんし、この時期の彼が晩年(80年代後半)のプレイとは明らかに異なる力強さと切れを持っていたことが良くわかります。
発売・販売元 提供資料(2017/04/18)