2006年ACTレーベルが立ちあげたシリーズ"Young German Jazz"シリーズの一枚として、デビュー作『Remember Chet』をリリース。トランペッターのJulianとピアニストのRomanによるWasserfuhr兄弟の注目の新作。当時、まだ17歳と20歳だった二人も、10年の時を経て、3作の作品を制作。一作一作経験を積んできました。本作は、ユニット第5弾。レーベルの社長であり、大プロデューサーであるSiggi Lochが2人に、新作制作をもちかけると、今までとは違い、2人は逡巡したのだとか。その心理には、制作のモチベーションとなる考えが不足していたことにあったようです。しかし、その思いから、プロジェクトは一気に大きな方向へと動き出しました。なんとNYブルックリンの名スタジオであるSystem Twoでの録音。しかも、メンバーには、デイヴィッド・ボウイのバンドで活躍し、トリビュート作もリリースして大きな話題を巻き起こしているダニー・マッキャスリンが参加。ベースには、同バンドのメンバーであり、ミヒャエル・ウォルニーのバンドの一人でもあるティム・ルフェーヴル。そして、ドラムには超重量級のドラミングで知られ、マッキャスリンとも近しい存在であるネイト・ウッドが参加ということになったのです。2人がスタジオに到着した時には、まだアイディアもラフなまま。楽曲のスコアだけをもちつつ、アレンジや楽曲構成も固まっていなかったとのこと。しかし、そこは、名うてのメンバーたち。リハーサルも何もなく、本作の正にオープニングを飾ることになったM1はアンサンブルとして一気に形になり、本腰の録音に直結していったのだそうです。聴き所の一つはM4。マリンバを用いたイントロからドラマティックに展開していく楽曲の中で、マッキャスリンのダイナミックなサックスをフィーチャー。ソロを引き継ぐジュリアンも気合が入ります。言うまでもなくドイツの若手にとって大きく胸を借りた機会。演奏には、若手の初々しさと緊張感のようなものが混じりますが、この経験が2人にとって大きなステップになったのは言うまでもないでしょう。
発売・販売元 提供資料(2017/01/31)