世界の多くの国でもそうであるように、西アフリカのほとんどの国で男尊女卑は大きな問題となっている。暴力、性的虐待、居住権や教育における不平、さらに今なおも存在する女性器の暴力的な切除という伝統。こういったことに立ち向かうために、レ・ザマゾン・ダフリックの女性陣は集結し、音楽を武器に、女性を無力化させているこれらの問題を声高々にうったえることにした。「態度の変化ということに、音楽が貢献できると我々は信じています」、こう話すのはバンドの広報担当。レ・ザマゾン・ダフリックは、これまでに性的被害にあった8.5万人以上のコンゴ民主共和国女性の傷を治療していた"Panzi Foundation"の資金援助に携わっている。
発売・販売元 提供資料(2017/02/10)
女性への性的暴力が社会問題化している西アフリカの現状を訴えるべく、2015年に立ち上がったアフリカ音楽界のスーパー・グループによる初作。〈アフリカのアマゾネスたち〉を意味する名前からも窺える通り、フィーチャーされているのは西アフリカ各国の女性シンガーだ。その顔ぶれは、カンディア・クヤテやマリアム・ドゥンビア(アマドゥ&マリアム)、インナ・モジャらマリ勢を中心に、現代アフロ・ポップを代表する歌い手のひとりであるアンジェリーク・キジョー、ネオ・ソウル系の作品に定評のあるナイジェリア出身のネカなど凄まじい豪華さ。全体を取り仕切るのはパリに住むアイルランド人プロデューサーのリアム・ファレルで、現行R&Bやレゲエのフレイヴァーもほんのり感じさせる洗練されたプロダクションを披露している。ただし、あくまでも音楽世界の中心は滋味深い歌声。伝統楽器の導入もさりげないもので、骨太のアフリカン・ソウル作品として広く聴かれてほしいアルバムだ。
bounce (C)大石始
タワーレコード(vol.401(2017年3月25日発行号)掲載)