70年代のスティーヴィー・ワンダーを彷彿とさせる、魂のシンガー・ソングライター&ギタリスト、ラウル・ミドンの待望の新作。
2013年の前作 『ドント・へジテイト』では、ダイアン・リーヴス、リズ・ライト、リチャード・ボナらをゲストに迎えての、セルフ・プロデュースによるシンプルでストレート、初心に還ったかような、ピュアでナイーヴな楽曲の数々が好評だった。
本作は、さらにそれを研ぎ澄まさせた、シンガー・ソングライター、ラウル・ミドンの円熟の歌とギター演奏、そして力強いパッションを感じさせてくれる、正に21世紀のニュー・ソウル!と呼びたくなるような楽曲が詰まった、素晴らしい内容となっている。そう、あの、スティーヴィー・ワンダー、カーティス・メイフィールド、ダニー・ハザウェイらが活躍した時代を思い起こさせるような、アコースティックでソウルフルなオリジナル・ナンバーに加え、スティーリー・ダンを想わせるような、ジャズのエッセンスを取りこんだポップ・サウンド。前作にあった、ラテン風味は減退しており、ソウル、ポップ・シーンを見据えたアルバムと言える。
前作ラストナンバーでは、ザ・フーの「恋のマジック・アイ」の鮮烈カヴァーが話題を呼んだが、本作ラストでは、スティーヴ・ミラー・バンドの名曲「フライ・ライク・アン・イーグル」を取りあげている。原曲に忠実な愛情あふれるカヴァーとなっており、鷹のように空を自由に飛び回る、ラウル・ミドンの歌とギターが実に感動的!
2005年、デビュー。アルゼンチン、アフロ・アメリカンの両親の血を受け継いだ、ラテン・フォーキー・ソウルの貴公子として、これまで4枚のアルバムをリリース。アリフ・マーディン、ラリー・クレインら名プロディーサーによる制作アルバムや、前作からは、Artistry / Mack Avenue にレーベルを移籍している。来日公演も度々、行っており、2017年4月には、本アルバムを引っ提げて、ブルーノート東京に登場、自身のバンドとしては初となる、ラウル・ミドン・トリオとしての公演を予定している。
発売・販売元 提供資料(2017/01/27)
3年ぶりの5作目はぶっ飛んだジャケとタイトルに驚くが、中身を聴けば納得。〈俺はヤバい盲目男だぜ〉と歌い飛ばす冒頭の表題曲や、熱いギター・プレイも飛び出す"Pedal To The Metal"など、これまでのニュー・ソウル詩人というイメージに加え、ブルースマンとでも言うべきイナタい味わいを強めた快作だ。もちろん得意のラテン~ブラジル色や、滋味あるフォーキー・ソウル、スティーヴ・ミラー・バンドのカヴァーなども上々。
bounce (C)池谷昌之
タワーレコード(vol.401(2017年3月25日発行号)掲載)
ソウルフルなヴォーカルとアコギによる抜群のバッキングに思わず溜息。稀有なR&Bシンガー・ソングライター、ラウル・ミドンの3年ぶりのアルバム。ポップでジャジーなフィーリングにあふれ、どことなく漂うネオ・ソウル的な雰囲気もいい。本人のラップや多重録音によるコーラス・ワークもあり、演奏ではエレクトリック・ギターのソロもフーチュアされ、本人色の強いサウンドと随所に感じられるファンキーで多彩なリズム・アレンジも粋な一作。楽曲はオリジナル曲中心で、ラストにはスティーヴ・ミラー・バンドの77年のヒット・ナンバー《フライ・ライク・アン・イーグル》のカヴァーを収録。
intoxicate (C)馬場雅之
タワーレコード(vol.126(2017年2月10日発行号)掲載)