俄然脚光を集めるアメリカ西海岸の音楽シーンで大活躍するキーボーディスト、キャメロン・グレイヴスがMack Avenueからワールド・ワイドにデビュー!カマシ・ワシントンとの出会いは、青少年という言葉もふさわしい13歳の時。カマシ自身も"キャメロン・グレイヴスの音楽は出会った時から今に至るまで、ずっと自分をインスパイアしてきている"と評価。その言葉だけでも、才能が伺えますが、2017年現在はスタンリー・クラークのバンドでも大活躍中。2015年にはスタンリーのバンド・メンバーとして来日し、強力な演奏を見せてくれたのも記憶に新しいところでしょう。そんなキャメロン・グレイヴスは、来日時のインタビューで、"音楽的には色々な音楽から影響を受けている"とし、大きく影響を受けたのが、ショパン、アート・テイタム、J.ディラ、メシュガーという4人なのだとか。クラシック、モダン・ジャズ、ヒップ・ホップ、メタルの、各ジャンル、正にアイコンとも言うべき才能を上げることからも、その興味の幅と音楽性が表現されていますが、本作もそのキャメロンの趣向が現れた大作といえます。カマシ・ワシントンが全面参加するほか、幼なじみの兄弟ステファン"サンダーキャット"ブルーナー&ロナルド・ブルーナーも参加。それに、00年代、ジャコの再来と大きく話題を呼んだバカテク・ベーシスト、アドリアン・フェローも参加とくれば、それ以上の言葉を加えずとも、大きな話題性がありますが、もうひとつのキーは多様性。スピリチュアルなジャズ世界もあれば、コズミックな混沌あり、壮大な叙事詩を感じさせるプログレッシヴなアンサンブル・サウンドあり、ダークなメタリックな演奏あり。しかし、中にはクラシック的な要素が縦横に入り組んでもいるのです。もともとジョン・コルトレーンを聴いて育ち、16歳の時に、"Young Jazz Giants"を結成。「その時から自分たちのグルーヴを見つけ、楽曲を書き、さらなる化学反応を起こし続けてきた」、とグレイヴスは語っていますが、そうした意味で、本作は、アーティスト自ら満を持してのリリース、といえそうです。「現在は、カマシらとの活動とスタンリー・クラークのバンドを行ったり来たり。そして、スタンリーとは、トリオでも活動したいね、という話もあるんだ」とも語っていたグレイヴス。巨匠ベーシストも全面的に信頼し、新たなバンドのメンバーとして見据える存在。82年生まれ、音楽一家で幼少時より、正規の音楽教育を受けていたグレイヴスからは、目が離せそうにありません。
発売・販売元 提供資料(2017/01/31)
カマシ・ワシントンの登場で注目度の高まるアメリカ西海岸シーン。そのカマシと少年の頃から交流があるというキャメロン・グレイヴスは、現在スタンリー・クラークのバンド・メンバーとしても活躍中で、2015年にはそのツアーで来日も果たしている。"満を持して"という言葉が最もふさわしいこのデビュー作では、カマシ・ワシントンや幼馴染のサンダーキャット&ロナルド・ブルーナー・ジュニアが参加。演奏者各々が素晴らしいテクニックを披露しつつ、プログレッシヴなアンサンブルの中にクラシカルな響きのピアノがその独自性を醸し出している。
intoxicate (C)栗原隆行
タワーレコード(vol.127(2017年4月10日発行号)掲載)