涙するまで、生きる

ノーベル文学賞 アルベール・カミュの知られざる真意。文学に託された光が時を超えて蘇る。

世界に正義という答えはあるのか――、人生観を揺るがす感動の物語

★アルジェリア戦争によって沈黙を余儀なくされたノーベル文学賞作家カミュ。その心が今、紐解かれる
原作はノーベル文学賞作家、アルベール・カミュの短編集『転落・追放と王国』の一編。日本でも累計40万部を超えるベストセラーである。貧しいフランス人入植者の父を持ちアルジェリアで生まれ育ったカミュは、ふたつの国の共存を望んでいた。作家として成功を収めていたカミュだったが、アルジェリアの独立を巡り激化する戦いに胸を痛めていたあるとき市民に停戦を呼びかけるが、裏切り者と罵られ、不毛に終わる。以来、口を閉ざしてしまったカミュ。その直後に発表された本作には、そんなカミュの知られざる真意が込められている!

★ベネチア国際映画祭を沸かせた、名優ヴィゴ・モーテンセンの真骨頂
主人公ダリュを演じるのは、実力派俳優ヴィゴ・モーテンセン。アメリカ人でありながら北欧の血を受け継ぎ、幼い頃には南米での生活を経験。多言語を身に着け、ハリウッド大作から、カナダのデヴィッド・クローネンバーグ、スペイン、オーストラリア、ブラジル人監督等と組み、無国籍の俳優人生を歩んでいる。本作ではフランス語とアラビア語を操り、国や民族、政治的立場を飛び越えて、生きることを最後まで説き続ける人間味豊かな役を熱演!

★世界が注目するフランス映画界の新鋭、ダヴィド・オールホッフェン監督作品!
監督を務めたダヴィド・オールホッフェンは、セザール賞やカンヌ国際映画祭を賑わす新進気鋭のフランス人監督。1999年まで「アルジェリア戦争」と公式に呼ぶことさえ認めず、長らくタブー視されてきたフランスにとっての暗部とされる戦争の本質をつく見事な脚色が絶賛された。解く術のない誤解、復讐の連鎖で加速する悲劇を前に、人間が分かりあうことの困難さと尊さを問いかける!

★音楽はロック界の詩人、ニック・ケイヴ
荒涼とした高地を覆い始める不穏な空気、人物の緊張感を音楽で表現したのは、ニック・ケイヴとワーレン・エリスのコンビ。さらに、アトラス山脈の迫力ある広大なロケーションが、終わりなき血の争いの空しさ、残されたヒューマニズムの希望を際立たせる。