デイヴ・ブルーベックとポール・デスモンドは1940年代から共演を重ねていましたが、ブルーベックがデスモンドを加えたクァルテットでレギュラーな活動を始めたのは50年代に入ってからのことでした。初代のベーシストとドラマーはフレッド・ダットンとハーブ・バーマンでしたが、その後ベーシストはワイアット・ルーサー、ロン・クロッティを経て53年末からはボブ・ベイツとなり、ドラマーはロイド・デイヴィスがつとめた後やはり53年末にジョー・ダッジへと交代、55年いっぱいまでこの4人で活動を続けました。その間、米コロムビアから『Brubeck Time』、『Jazz Red Hot And Cool』といったアルバムを発表して高い人気を誇ったこのクァルテットですが、これは、55年の6月にカリフォルニア州カーメルのサンセット・オーディトリアムで開催されたコンサートのライヴ演奏を収めた1枚。コンサートを終えて間もなく、カーメル大学がLPとしてこのステージの模様をリリースしましたが、ごく限られた枚数しかプレスされず、あっという間に"幻"化してしまいました。それがついにCD化されたのです。
ブルーベックのクァループも、落ち着いたリズムに乗ったデスモンドやブルーベックのソロが素晴らしく、ルテットというとジーン・ライトとジョー・モレロの加わったグループによる軽やかにスウィングする演奏ばかりが高い人気を獲得しましたが、初期のグ後のグループに勝るとも劣らない充実した演奏が続きます。さらに、ほとんどが1曲10分近く、あるいはそれを超える演奏なので、ふたりがソロをどのように構築していくのかをじっくりと楽しめます。ボーナス・トラックの9は、ベーシストがボブ・ベイツから弟のノーマン・ベイツへと交代した1956年にNYCのクラブ"Basin Street"で行った演奏。直前のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルでも取り上げたこの曲は、ブルーベックが何度もレコーディングすることになる自作曲ですが、ここでも、ブルーベックとデスモンドが一緒に演奏したときだけに生まれる特別な香りに包まれており、聴きごたえ十分です。
発売・販売元 提供資料(2016/12/01)