ロンドン中世アンサンブルによる、終末的厭世観に彩られた中世フランスの世俗歌曲集が待望の復活!詳細な解説も必読。

マショーとデュファイのはざまで～と副題が付いたこの音源は、国内盤では1993年以来久しぶりの再発。中世フランスの世俗歌曲を収めたこの盤は、ちょうど空白であったマショーの後、14世紀末から15世紀初頭にかけての世俗歌曲にスポットを当てた、発売当時としては非常に画期的な音源でした。その音楽は驚くべきもので、既に複雑な対位法を完成させていた事実とともに、終末的厭世観が歌詞に反映されており、現代においても並ぶものが少ない貴重な歌曲です。この音源のあと、個性的な録音が複数登場してはいますが、この盤にある端正でありながらも精度の高い演奏は、今でも決して色あせてはいません。むしろ、内容や歌詞が細工なく伝わるこの盤の価値は高いと言えます。ピーター&ティモシー・デイヴィスの兄弟が率いるロンドン中世アンサンブルは、'70年代末から'80年代前半まで活躍した団体で、活動期間は短く、録音も多くありませんが、重要なアルバムをいくつか発売しています。中でも、当Vintageシリーズの初期にリリース済の「デュファイ:世俗音楽全集(PROA73/5)や「オケゲム:世俗音楽全集(PROA40/1)」といったフランドル楽派の世俗音楽全集は重要です。今回の復刻では従来の今谷和徳氏による詳細な解説に加え、矢澤孝樹氏による新規序文解説も掲載しました。歌詞対訳も加えて、20ページ以上となるブックレットは、資料としても充実した内容となっています。

タワーレコード （2016/11/09）