1984年、仏領マルティニーク島生まれの話題のピアニスト、グレゴリー・プリヴァのACT移籍第一弾。マルティニークで最も知名度の高いバンドでもある"マラヴォア"のピアニストである父親の影響を受け、6歳からピアノを始め、16歳の時に、作曲や即興に目覚めたプリヴァは、そののち、フランス、トゥルーズで数々のセッションを重ね、パリに移住。ヨーロッパのジャズの都に単身で飛び込むように乗り込んだ時は27歳で、決して、若い年齢でもありませんでしたが、それからの活躍ぶりは、目を見張るものがあります。デビュー作『Ki Kote』で脚光を浴び、数々の才能あるアーティスト(アヴィシャイ・コーエン及び、ティグランなど)を発掘し、世に送り出したプロデューサー、ヤン・マルタンのレーベル(Plus Loin / Jazz Family)で2作品をリリース。日本でも注目を集めて、本作品につながりました。
今回は、ザヴィヌル・シンジケートのベーシストとしても活躍したリンレイ・マルトを迎えた全編トリオ編成で挑んだ作品。ジャズの基本と言えるトリオでの演奏は、ジャズ・ファンの心をつかむこと間違いなし。一方、そのフォーマットによって、ある種の規制を受けることにもなりますが、マルティニークの伝統芸術や、ベレ・ミュージックにインスパイアされたというM8「Ladja」は、マルティニーク出身というルーツと、ジャズのインプロが、力強く融合し、陰影豊かに、情熱と躍動感もあふれる演奏。またタイトル・トラックであるM3「Family Tree」にはカリブ海世界の光と哀愁がにじみ出す情感豊かなトラック。プリヴァだからこそのオリジナリティがあふれます。一方、もちろん、美しいピアノの響きは言わずもがな。ミッシェル・ペトルチアーニ~バティスト・トロティニョンといったパリを出発点としたピアニストの演奏も彷彿とさせるコンポジションと流麗なタッチも印象的なオープニング・ナンバーを始め、未来への才能を感じさせます。テクニックも揺るぎなく、めくるめく展開する高速フレーズも軽やかに奏で、キャッチーに印象を残すメロディ・センスあるコンポジションや、ソロ・フレージングも魅力的。あのティグランの後継として、ラーシュ・ダニエルソンのグループ"Liberetto Ensemble"にも加わり、活躍中。ACT レーベルで最も若く、新しいピアノの逸材。今後も楽しみです。
発売・販売元 提供資料(2016/10/20)