柳樂光隆監修レーベル"Jazz The New Chapter Records"初の単独アルバムをリリース!第一弾はカナダで活動をしている気鋭の作曲家/ヴォーカリスト/ピアニスト、イシス・ヒラルドのDL音源のみで発売されていたアルバムを初CD化! (C)RS
JMD(2016/10/21)
柳樂光隆氏監修レーベル、Jazz The New Chapter Records初の単独アルバムをリリース!
第一弾はコロンビア生まれ、カナダで活動をしている気鋭の作曲家/ヴォーカリスト/ピアニスト、イシス・ヒラルドのDL音源のみで発売されていたアルバムを初CD化!
イシス・ヒラルドは1989年コロンビア生まれ、カナダ育ち。カナダで活動をしている気鋭の作曲家/ヴォーカリスト/ピアニスト。彼女が2015年にbandcampでひっそりと発表していたアルバム『PADRE』は驚異的な作品だ。カナダの大学で音楽を学び、カナダの小さなシーンで活動し、USなどの大きなシーンやレーベルとの交流を持たないこの才能を、音楽評論家の高橋健太郎氏が発見したことは2015年の大きなトピックであると言っていいだろう。
もともとセロニアス・モンクやストラヴィンスキー、バッハ、エリカ・バドゥが好きだという彼女が生み出す楽曲 は彼女がメインフィールドとしているジャズだけでは捉えきれない。そこにはブラッド・メルドーを思わせるクラシック経由の現代ジャズ的なピアノから、レ ディオヘッドのようなメランコリックな情感、更にはマリア・シュナイダーのような浮遊感から、ECMとも通じるような教会音楽~聖歌のような響き、更には彼女のルーツとも言えるフォルクローレ的な要素までが聴こえてくる。そして、それらの音を同時代のインディーロックやビートミュージックと同じような質感の音響空間の中で鳴らしている。
はっきり言ってこんな音楽は今までに聴いたことがない。ジャズの素養がなければできない演奏が詰まっているが ジャズではない。音響的な配慮やリズムの解釈、個々の演奏のテクニックや作曲の手法など、ディテールはどこまでも現代的だが、時折、まるでバロック音楽、 もしくは遥か昔から歌い継がれているフォークミュージックを聴いているような瞬間さえある。ジャンルや地域性だけでなく、太古の昔から現代まで時代性をも 自由に行き来する彼女の音楽は、今、アルメニアのティグラン・ハマシアンが奏でているのと同じ≪ジャズミュージシャンが奏でるまだ名前のついていない新し い音楽≫といえるだろう。 (柳樂光隆)
発売・販売元 提供資料(2016/10/19)
コロムビア出身の気鋭のピアニスト/シンガー/コンポーザー、イシス・ヒラルドのダウンロード音源のみでリリースされていた作品が、柳樂光隆氏監修の新レーベル〈Jazz The New Chapter Records〉の第1弾アイテムとして初CD化。一聴した段階で、作品全体に漂う美しさとある種の荘厳な雰囲気に圧倒され、いつのまにか1周、また1周とループし、摩訶不思議な音世界から抜け出せなくなっていた。ジャズという枠にはおさまりきらない、空前のスケールを奏でる彼女の音楽を聴くと、世界にはまだ知られていない素晴らしい音楽があるのだとあらためて思わされる。
intoxicate (C)栗原隆行
タワーレコード(vol.125(2016年12月10日発行号)掲載)