エモーショナル・ロックというジャンルを世界的メジャーに押し上げた最大の功労者であり、揺るぎない絶対王者として高い人気を誇るジミー・イート・ワールドの、メジャー・デビュー20周年記念作となる3年ぶり/通算9作目のオリジナル・アルバム。
アリゾナ州メサで結成され、1994年にバンド名を冠した自主制作盤を発表し、1996年のアルバム『スタティック・プリヴェイルズ』でのメジャー・デビューから今年20周年を迎えたジミー・イート・ワールド。これまでに、4作目でミリオン・セールス、6作目で自身最高の全米初登場5位を獲得したのを始め、そのスケールの大きなサウンドと繊細かつ抒情的に歌い上げるボーカル/メロディで数々のシングル・ヒットも記録してきた彼ら。日本でも「スウィートネス」がTVCM楽曲に起用されるなど、彼らの良質なロック・トラックは日本も含め世界的な支持を得てきた。フロントマンのジム・アドキンス(vo,g)は、新作『インテグリティ・ブルース』のテーマについて「progress=人間は常に進歩の過程にあるもの」と語っている。2001年発表の4作目から9作目となる今作まで、3年おきにコンスタントに新作を発売してきた彼ら。前作『ダメージ』はバンド結成20周年記念作だったが今作はメジャー・デビュー20周年にあたり、リリック的にもより円熟味を増した、エモーショナルかつメロディアスな作品に仕上がっている。
発売・販売元 提供資料(2016/09/12)
心機一転のレーベル移籍作『Damage』以上に、〈エモ〉の範疇に留まらないサウンドを追求した3年ぶりのニュー・アルバム。美しく切ないメロディーによって従来の魅力をアピールする一方、空間と言うか、音響を意識したポスト・ロック的なプロダクションが鮮烈だ。また、収録曲の一部では80s趣味のダンサブルなナンバーまで披露していてビックリ。結成から20余年、彼らの挑戦はまだまだ終わらない。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.396(2016年10月25日発行号)掲載)