NYのロバート・グラスパー、LAのカマシ・ワシントン、マンチェスターのゴーゴー・ペンギンやママル・ハンズ、メルボルンのハイエイタス・カイヨーテなど世界各国で新たなジャズの潮流が巻き起こる中、その全てを予見してきたジャイルス・ピーターソンの〈Brownswood〉より、ロンドンを拠点に活動するアフリカ系テナー・サックス奏者シャバカ・ハッチングスが南アフリカの精鋭ジャズマン達を率いた初リーダー作品のリリースを発表。
ジャズはもちろん、その個性豊かなプレイヤビリティはサンズ・オブ・ケメット、ザ・コメット・イズ・カミング、メルト・ユア・セルフ・ダウンなどボーダーレスなバンド活動でも存分に発揮され、近年ではサン・ラ・アーケストラの一員として活躍し、ムラトゥ・アスタトゥケからジョニー・グリーンウッドまで幅広いアーティストとコラボレート。JazzFMやMOBOなど数々の音楽賞を受賞してきた。
わずか1日でレコーディングされたという今回のアルバムは、ハッチングスが長年称賛してきた南アフリカのジャズ・ミュージシャン集団と行ったセッションの記録である。マックス・ローチ、アーチ―・シェップ、そしてユセフ・ラティーフに師事したアフリカを代表するサックス奏者ジム・ンガワナや南アフリカのセロニアス・モンクの異名をとったベキ・ムセレクといった偉人達もかつて籍を置いたこのグループは、ハッチングスの書いた曲の中で自分達自身を再構成しながら、そこに南アフリカの血脈を注入。アメリカン・ジャズの系譜に彼ら独自の観点をもたらしている。
ジョン・コルトレーン『至上の愛』、ファラオ・サンダース『ラヴ・イン・アス・オール』、〈Black Jazz Records〉諸作、そして2015年のカマシ・ワシントン『ザ・エピック』への回答とも言うべき、UKブラック・ジャズの最高峰がここに誕生した。
発売・販売元 提供資料(2016/08/18)
ロンドン出身のサックス奏者シャバカ・ハッチングスはザ・ヘリオセントリックスやサン・ラ・アーケストラ等に参加しアフロ~スピリチュアル街道を着実に歩む一方、所属するサンズ・オブ・ケメット、メルト・ユアセルフ・ダウンの他、ジョニー・グリーンウッドの作品にも関わるなどUK新世代ジャズの裏の顔として君臨する。ジャイルス・ピーターソンのブラウンズ・ウッドから南アフリカのジャズメンを率い発表された初リーダー作はアーケストラ等で得たスピリチュアルマナーとUKジャズ的端正なグルーヴを兼ね備え、時の人カマシ・ワシントンとも比肩し得る完成度を誇る進行形のブラックジャズである。
intoxicate (C)片切真吾
タワーレコード(vol.124(2016年10月10日発行号)掲載)
ジャイルズ・ピーターソン主宰のブラウンズウッドから、サン・アーケストラのメンバーでもあるテナー・サックス奏者、シャバカ・ハッチングスの初リーダー作がリリース。静謐な雰囲気の中に熱さを感じさせる素晴らしい内容に仕上がっています。昨年何かと話題だったカマシ・ワシントンともよく比較されているようですが、フリー&スピリチュアル、アフリカンまで呑み込んだサウンドは一歩も引けを取りません!
bounce (C)サクライマー
タワーレコード(vol.395(2016年9月25日発行号)掲載)