アルバム16枚分という破格の契約でWARPへと移籍したオーストラリア出身のバンド、ピヴォット。メンバーはPrefuse73、Battles、Flanger、Savath & Savalas、Qua、Jan Jelinek、Burnt Friedman、Damo Suzuki等とレコーディングやパフォーマンスでコラボをしており、過去から現在までのサイド・プロジェクトの作品をワールドワイドにリリースしている(Triosk、Roman the Hello Clouds、Dave MillerのBackground Recordsでのミニマル・テクノ、Laurenz Pikeのソロ作品)、いわば歴戦の強者である。Vangelis、Jean Michel Jarreからはシンセサイザーの優れた要素、WARPのレーベル・メートのAutechreのエレクトロニクス要素、そしてポストパンク・ニュー・ウェーヴのTalking Heads等から影響を受けた彼らのこのデビュー・アルバムは偏在するメロドラマ的な感覚と‘世紀末的な楽しみ'としか表現しようのない感覚を発している。Battlesファンもぜひ。
発売・販売元 提供資料(2016/08/12)
プレフューズ73やバトルス、ヤン・イェリネック、ダモ鈴木などとの交流で知られるオーストラリアの音楽オタク兄弟+1が化けた。〈化けた〉と言っても、この新作でも十分にオタク的なヴァイブを持った変則的かつ緻密かつ耳障りかつ快楽的なグルーヴをブリブリッと生み出しているのだが、フリージャズをポスト・パンクで漂白したような揺らぎやハズシを多用したプロダクションは、〈21世紀のエレクトロニカ〉を初めて強烈に意識させるもので、オタクの殻をブチ破って世界中を震撼させるであろうほどに刺激的なのである。言っておくが、これは凄い一枚だ。マッシヴ・アタックがキュレーターを務めた〈Meltdown〉でYMOと共演し、シガー・ロスのサポート・アクトにも抜擢された彼らを、いま聴かないでどうする?
bounce (C)冨田 明宏
タワーレコード(2008年09月号掲載 (P70))