ヴェト・コンから改名した、カナダ・カルガリーのポスト・パンク・バンド、プリオキュペイションズが2ndとなるセルフ・タイトル・アルバム『プリオキュペイションズ』をリリースする。今作も前作に引き続き、ボン・イヴェールやダイナソーJrを擁するインディー・レーベルJagjaguwarからのリリース。収録曲「Monotony」は先の見えない仕事、「Anxiety」はバンドとしての変化、「Fever」は誰かを励ましている、といったようにすべての曲が特定の物事から作られている。前作に続き、ザ・キュアーやエコー・アンド・ザ・バニーメンなどニューウェーブの雰囲気や、ザ・ゾンビーズなど、60年代のサイケポップの香りもするサウンドからは、メンバーがそれぞれに10年以上に亘ってダークなゴシック調のポップ・ミュージックを作っていたという背景も感じられる。今作のプロデュースはトロントのエレクトロニカ・バンドでキーボードを担当し、メッツ等のポスト・パンク・バンドも手掛けたグラハム・ウォルシュが行った。
発売・販売元 提供資料(2016/07/11)
カナダ産の人気ポスト・パンク・バンド、ヴェト・コンが改名!……したのだが、バウハウスやキュアーを彷彿とさせる80s愛ムキ出しのサウンドに、サイケなギター・ノイズを絡めたダークな音世界は、この新作でも変わらない。哲学的な歌詞を味わいながら物思いにどっぷり耽るも良し、エモい美メロとタテノリのリズムに乗ってヤケクソ気味に踊り明かすも良し。この一枚さえあれば、秋の夜長が充実しそうだ。
bounce (C)柴田かずえ
タワーレコード(vol.395(2016年9月25日発行号)掲載)