フライング・ロータスのセカンド・アルバム『Los Angeles』にフィーチャーされ、その幻惑的なヴォーカルで世界中に衝撃を与えた<Warp>随一の怪人ゴンジャスフィが4年振りとなる新アルバム『Callus』をリリース。
フライング・ロータスやガスランプ・キラーがプロデュース参加したデビュー作『A Sufi & A Killer』では、ヒップホップをベースにロックを混ぜ合わせながら、インド音楽やトルコのサイケ・バンドまでもを吸収したコスモポリタンな内容で一躍話題となる。またトム・ヨークのお気に入りに選ばれるなど、各方面から賞賛を浴びカルト的な人気を集めた。さらに続くセカンド・アルバム『MU.ZZ.LE』ではジェイ・Zに収録曲がサンプリングされるなど引き続き多方面から高い評価を獲得していった。
そして長き沈黙を破り、全編セルフ・プロデュースで挑む本作では、かねてよりコラボレーションを重ねてきた元ザ・キュアーのギタリスト、ポール・トンプソンが参加。ローファイな質感が維持されつつも、ブルーズのテイストが強調され、よりロック色の濃い作品となっている。
完全に隔離された環境の中で構築されたという本作だが、奇しくもデス・グリップスなどの生々しくてノイジーなサウンドが注目を集めるいまの音楽シーンと共振したタイムリーな一作となっている。苦悩を経て、ファーストから続く秘教的なスモーキー・サウンドはよりドープさを増し、その独特のサイケデリアは聴く者を未知の秘境へと誘い込む。これは現代に解き放たれた、秘教=秘境ロックである。
発売・販売元 提供資料(2016/08/18)
そのミステリアスな存在感で人気を集めるゴンジャスフィの新作。前作に続くセルフ・プロデュースで、キュアーのポール・トンプソンもゲスト参加。さらにサイケな世界観を深めており、呻き声とも嘆きとも取れる加工されたヴォーカルは、怒りや苦しみを内包し、ノイズやビートが絡み付いて聴き手をズルズル引きずり込む無限地獄。ダークで刺激的、それでいてクールネスが貫かれている点に惚れます痺れます。
bounce (C)池田謙司
タワーレコード(vol.394(2016年8月25日発行号)掲載)