6年の沈黙を破り、グラスゴー音楽シーンの良心=ティーンエイジ・ファンクラブが10枚目となる新作『ヒア』を、バンドが運営するレーベル=Pemaからリリース。ここ日本でも絶大な人気を誇るギター・ポップ・バンドである彼等が、新旧ファンの期待を裏切らない、ポップで温かなティーンエイジ・ファンクラブ節全開の傑作アルバムを完成させた。
デビュー・アルバムから26年、創設メンバーであるノーマン・ブレイク、レイモンド・マッギンリー、フランシス・マクドナルドの3人で組んでいた前身のバンド、ザ・ボーイ・ヘアドレッサーズから約30年が経った今でも、以心伝心で伝わるミュージシャンシップと唯一無二のソングライティングは全く変わっていない。今作は3人のソングライターとバンドのサウンドマンであるデヴィッド・ヘンダーソン、ドラマーであるフランシス・マクドナルド、キーボードのデイヴ・マッゴーワンと共に3ヵ所のスタジオにて制作された。フランス、プロヴァンス地方の片田舎にあるヴェガ・スタジオ、グラスゴーにあるレイモンドの自宅スタジオでレコーディングされ、ハンブルグにあるクラウド・ヒルにてミキシングされた。今まで通り、アルバムではバンド内の民主主義に乗っ取りノーマン、ジェラルド、レイモンドの3人のソングライターがそれぞれ4曲ずつの作詞作曲を務めている。アルバムは一聴してティーンエイジ・ファンクラブの曲だと分かるポップで爽やかな「I'm In Love」から始まり、間違い無い友情への賛歌「With You」など人生と愛について歌った12曲の至極のギター・ポップが収録されている。
発売・販売元 提供資料(2016/06/27)
Mojo (Publisher) - Ranked #13 in Mojo's 'The 50 Best Albums Of 2016' -- "[G]uitar pop purity with melodies to the fore while heartsore lyrics come caramel-coated."
Clash (Magazine) - "'With You' is a gorgeous, perfectly constructed standout; sad and happy rolled into one....`I Have Nothing More To Say' takes you to the sun-baked California of the 1967 Monterey Festival."
Rovi
キャリアの長さからして徐々に枯れた味わいを楽しむようなグループになっていくのかな……と思っていたら、届いたのはとても溌剌としたギター・ポップ・アルバム。歳を重ねて得た各々のソングライターとしての〈深み〉みたいなものを、若々しくて張りのある演奏で表現した心躍る出来映えだ。グラスゴー界隈でお馴染みのキーボーディスト、デイヴ・マクガワンも物凄く良いサポートをしている。
bounce (C)吾郎メモ
タワーレコード(vol.395(2016年9月25日発行号)掲載)
前作から、6年と言う月日が経ち、ようやく届いた通算10作目。良い意味で何も変わることのない彼らのサウンドに安堵感すら感じる。彼らの全てのアルバムにも言えることだが、1曲目の出だし数秒でTFCサウンドだと分かる安定感がもちろん本作にもある。これは、スコットランドのミュージシャン全体に言えることだが作品ごとに大きな変化を求めず、自分達が望む音を素直に鳴らすことに重きを置く一貫した姿勢。本作を聴いて、その素晴らしさを改めて実感した。私がレヴューを書くのも今回で最後となるので、改めてこれだけは言いたい。グラスゴー、いやスコットランドにハズレなし。
intoxicate (C)大石昌稔
タワーレコード(vol.123(2016年8月10日発行号)掲載)
1990年のデビュー以来、抜群のメロディーを聴かせてくれていたが、作品を重ねる毎メロディが洗練されていく。ノーマン、ジェラルド、レイモンドの3人が曲を書くのだが、1つのバンドにこれほどのセンスを持ったソングライター3人もいて、30年経っても同じバンドで活動を続け、それぞれの曲がさらに熟達していくなんて奇跡。長く付き合える清涼感溢れるポップソング集。