全世界アルバム・トータル・セールス3,000万枚、グラミー賞15冠、アルバム6作中5作(『アンプラグド』含む)が全米1位を獲得するなど、数々の快挙を成し遂げ続けてきたアリシア・キーズ(2016年時)。4年ぶり通算6枚目のスタジオ・アルバムを発売! (C)RS
JMD(2016/11/02)
途中に"We Are Here"(2014年)などで予感を窺わせていたものの、気付けば『Girl On Fire』から4年が経過。意識の高さが(音楽として)おもしろくない方向に向かうのでは……とか思ってもいたのだが、よく考えれば彼女がそんなものを作るはずはない。実質的なオープニングとなる"The Gospel"にてウータン・クランの足音が響くのを聴けば、その地平に彼女が立っていることもまた容易に実感できる。それも"Empire State Of Mind"で謳歌した表通りのNYではなく、気の置けないコミュニティー性に溢れた猥雑な裏通りのNY。もちろん、その意識は良いタイミングでATCQを持ってきた"She Don't Really Care"やナズを引用した"1 Luv"のようなノスタルジー込みの部分に止まらない。エイサップ・ロッキーを招いた"Blended Family(What You Do For Love)"や、デビュー時のアリシア自身をまざまざと思い出させる"Work On It"など、マーク・バトソンらの助力を得て多角的なNYらしさ=自分らしさを表現した力作だ。
bounce (C)轟ひろみ
タワーレコード(vol.397(2016年11月25日発行号)掲載)
彼女の思想やアイデンティティを表現した楽曲ばかりが並ぶが、楽曲のクオリティと、圧倒的な表現力は思想を無視しても聴くべき作品だろう
アコースティックでの弾き語りやHip-Hopの引用など楽曲の表情も多彩で、1stからまず外れのアルバムがないのも凄まじい